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パーマネント野ばら

2013年10月21日 00時46分07秒 | 邦画2010年

 ◎パーマネント野ばら(2010年 日本 100分)

 staff 原作/西原理恵子『パーマネント野ばら』

     監督/吉田大八 脚本/奥寺佐渡子 撮影/近藤龍人

     美術/富田麻友美 スタイリスト/小里幸子 谷口みゆき

     ヘアメイク/小沼みどり 音楽/福原まり 主題歌/さかいゆう『train』

 cast 菅野美穂 小池栄子 池脇千鶴 宇崎竜童 夏木マリ 江口洋介 山本浩司

 

 ◎美容室に集う人々

 高知の人って優しいのね。

 それとも海辺の町の人が優しいのかな。

 どちらかわからないけど、

 ひとつだけいえることは、吉田大八がたぶん優しい人なんだろなってことだ。

 ぼくはネタバレという言葉をほとんど憎んでるくらいに好きじゃない。

 脱線ついでいえば、ネタバレというのは業界の中でも限られた人達の用語だ。

 それを使うことでなんとなく芸能界に触れたような感じになるのはいいけど、

 あたかも市民権を得てしまったように、誰も彼も使うのはちょっと気持ちが悪い。

 たとえていえば、そう、お寿司屋さんにいって、

 あがりだの、むらさきだの、おあいそだのを口にするのと、

 おんなじことのようにおもえるからだ。

 だから、ぼくはネタバレという言葉は使わない。

 なんでそんなことをいうかといえば、

 江口洋介の正体について書いておこうかな~とおもったからだ。

 でもね、映画のラストをいってしまうことは、ネタバレとはいわんのですよ。

 ラストはラストです。大団円とか、締めくくりとか、幕切れとかいうけど、

 それをばらすかどうかってだけの話で、ラストは「ネタ」ではないのよ。

 でまあ、海辺の町にたぶん一軒しかないであろう美容室には、

 いろんな常連がやってくる。

 一見さんはおそらく怖くて入れないだろうし、

 いまどき、こんな田舎の美容室で頭をやってもらう若い人は、

 常連しかいないだろうから、そんなことはいいんだけど、

 ともかく、その常連さんの中でも、菅野美穂の同級生だけが若い。

 小池栄子と池脇千鶴なんだけど、この3人の身の回りの描写が主な話だ。

 フィリピンパブを経営して、どうしようもない浮気夫が女に走り、

 車で轢き殺してやろうとするんだけど、結局できずに怪我をする小池栄子と、

 スロットマシンに嵌ってしまって、そのまま行方をくらました夫が、

 やがて森の中で死体になって発見されてしまう池脇千鶴なんだけど、

 要するに、3人は3人とも、男運が悪い。

 ていうか、菅野美穂の母親の夏木マリもやっぱり男運が悪い。

 男運の悪いところには、それなりの連中が集うようで、

 寄ると触るとちんこの話しかしないような世界の中で、

 ただひとり、菅野美穂だけが江口洋介とプラトニックな恋をしてるなんて、

 どう考えたって、ありえない話だ。

 となれば、この江口洋介自身になにか謎があるわけで、

 菅野美穂の見ている江口洋介はいったい何者かってことになる。

 こういう伏線と回りの連中のオムニバス的な描写を上手に描き、

 くわえて、現在と過去を微妙に交差させて描いているのは、

 いったい脚本が冴えてるのか、それとも大八演出が冴えてるのか、

 ぼくにはよくわからない。

 最後の最後まで江口洋介の正体を完全には明かさず、

 ラストカットで「なるほどね」とおもわせるのは、

 やっぱり演出なのかな~とおもったりもするんだけど、

 いや、吉田大八、たいしたもんだわ。

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