◇ソフィー・マルソーの三銃士(1994年 フランス 129分)
原題 La fille de d'Artagnan
staff 原作/アレクサンドル・デュマ『三銃士』『二十年後』
監督/ベルトラン・タヴェルニエ
脚本/ミシェル・レヴィアン ベルトラン・タヴェルニエ ジャン・コスモ
撮影/パトリック・ブロシェ 美術/ジュフロワ・ラルシェル
衣装デザイン/ジャクリーヌ・モロー 音楽/フィリップ・サルド
cast ソフィー・マルソー フィリップ・ノワレ クロード・リッシュ サミー・フレー
◇1844年『三銃士』刊行
最初につまらないことをいおう。
「ソフィー・マルソーと南野陽子を繋ぐものがあるとすれば、それはダルタニャンだ」
なんでそうなるのか。
一般に『ダルタニャン物語』と呼ばれる銃士ダルタニャンの人生を描いた物語は、3部に分けられている。その第1部がいわゆる『三銃士』で、第2部が『二十年後』となり、第3部が『ブランジュロンヌ子爵』だ。黒岩涙香が翻訳小説として出版した『鐡仮面』はその第3部に登場するんだけど、これは『ダルタニャン物語』から二次派生した鉄仮面の囚人を中心にした小説で、書いたのはフォルチュネ・デュ・ボアゴベイで、もともとの題名は『サンマール氏の二羽のつぐみ』だった。ただし、涙香が翻訳したのは原書じゃなくて、英訳本だったんで結末がちがう。この『鐡仮面』を、のちに江戸川乱歩が書き改めて『鉄仮面』として出版、さらに少年向きに書き直して『仮面の恐怖王』になった。今では長島良三が原書を翻訳した『鉄仮面』が読めるんだけど、活字嫌いのぼくは、小学校の頃に『仮面の恐怖王』を読んだだけだ。
なんとも恥じ入るばかりだけど、この『鉄仮面』物はまだ別に派生した。小栗虫太郎の『二十世紀鉄仮面』ももちろんそうだが、少女活劇の代名詞のような『スケバン刑事Ⅱ少女鉄仮面伝説』も、その系列に入る。おお、やっと「ソフィー・マルソーと南野陽子を繋ぐものがあるとすれば、それはダルタニャンだ」というところに辿り着いた。
で、なんでこんなことをたらたらと書いてきたかといえば、本作もとどのつまり、フランスのアイドル映画なんだよな~っていう結論からだ。画面も明るく、しかも囚われの身となったソフィー・マルソーは、映画『スケバン刑事』で南野陽子が囚われたときとまったく同じポーズをとるし、そういうあたりも、ファン心を刺激するのはどうしたらいいのかを、日仏の制作者たちはなんとなく嗅ぎ取ってたってことになるんだろね。
てな感じの感想でした。