◇ハーメルン(2013年 日本 132分)
staff 監督・脚本/坪川拓史 撮影/与那覇政之
美術/畠山和久 衣裳デザイン/宮本まさ江
メイク/三沢友香 音楽/関島岳郎
特別協力/福島県大沼郡昭和村
cast 西島秀俊 倍賞千恵子 坂本長利 水橋研二 守田比呂也 風見章子
◇福島の心象スケッチ
とでもいえばいいんだろうか。
とにかく、映像が美しかった。
物語自体はそれほど起伏のある者ではないし、
やがて廃され壊される運命にある校舎を愛している人達の、
交流と回想が中心になってる。
ただ、回想というか思い出の再現というか、
その切っ掛けになってるのが、
福島県の埋蔵文化財研究員(だっけ?)になった卒業生、西島秀俊だ。
かれがほんとうに卒業生なのか、
あるいは校舎や自然の醸し出した精霊のひとつと捉えるのか、
それについてはわからない。
けれど、記憶の紡ぎ出す風景の中に、かれは無理なく溶け込んでいく。
こうした淡白な美しさは、むろん、スタッフとそれを支援する人達のちからだろう。
ご当地映画のひとつといっていいんだろうけど、
こういう自然体の映画は、ぼくは嫌いじゃない。
ただ、この作品は不幸な目にあった。
東日本大震災で撮影が中断されてしまったことだ。
その間に、西島秀俊はすごい勢いで売れっ子になったけれども、
ぼくは、かれの本領というか骨頂は、好い映画に出ること、とおもってる。
決して誇張せず、傲慢にならない謙虚さが、かれの好さだと信じているからで、
たぶん、とても頭の切れる人なんだろう。
この先も、大手が顧みない作品に出続けてもらいたいんだけどな~。
その方がスマートし、ぼくはそういう役者が好きだ。
ところで、
福島県の大沼郡というところを、まず、ぼくは知らなかった。
そこに昭和村があるなんて、もちろん、知るはずもない。
昭和村というレトロな建築物を抱えている施設は、
おそらくこの国には何か所かあるんだろうけど、
とりあえずは、ここに行ってみたいわ~。