◇はやぶさ HAYABUSA(2011年 日本 140分)
staff 監督/堤幸彦 脚本/白崎博史 井上潔 撮影/唐沢悟
美術/相馬直樹 装飾/田中宏 衣装デザイン/清藤美香 音楽/長谷部徹
cast 竹内結子 西田敏行 高嶋政宏 佐野史郎 山本耕史 生瀬勝久 鶴見辰吾 筧利夫
◇竹内結子の役は創作?
映画というのはどうしたところで監督の作品だから、
たとえ「はやぶさ」を扱っていたところで、その内容は監督の世界だ。
たしかに、はやぶさは偉業を達成した。
日本中が沸き、次々に映画が作られた。
はやぶさが好きな人はどれも観ただろうけど、
そこまではやぶさに肩入れしていないぼくは、ようやく1本、観た。
で、おもったんだけど、
ここまで日本を沸かせたものに関しては、
監督の世界を追うのは難しいんじゃないかと。
なぜかっていえば、
こと、このはやぶさを取り扱った映画についていえば、
観客が、ていうか、ぼくが期待しているのは、はやぶさそのものだ。
はやぶさがどのようにして作られ、打ち上げられ、危機を回避し、
そしてどのような作業をした上で、帰還したのかという地味で派手な内容だ。
あと、もしもあるとしたら、はやぶさと共にあったJAXAの人々の日々だろう。
もちろん、それはとっても専門的なことで、素人にはとてもじゃないけど難しい。
だから、それぞれの映画は苦労したんだろうし、狂言回しを必要とした。
で、気になったのが、メガネっ子の竹内結子だ。
ほかの登場人物はそれぞれJAXAとかにモデルがいるような感じだけど、
竹内結子はどうなんだろう?
創作なら創作でかまわないし、もしもモデルがいたなら、
せめてラストに顔写真の対比をしてくれるとよかったとおもわないでもない。
ただ、この作品に関していえば、
もしも創作の人物であれば、
その生活や心情を語られても、ぼくはあんまり嬉しくない。
映画の登場人物は、なにも美人でなくてもいいし、カッコよくなくてもいい。
物語はそれに似合った登場人物が必要なので、
なにも名前のある役者が出ていなくたって、現実味があればいい。
そう、ぼくはおもっているものだから、ことにはやぶさみたいなものを扱ったときは、
なおさら、そうおもっちゃうんだよね。
かつて、黒澤明が『トラトラトラ』を監督し、志なかばで中断したとき、
登場人物の多くに素人を起用した。
そういうことがあってもよかったんじゃないかっておもうんだけど、
やっぱり、役者のドラマがないと興行的に無理なんだろね。
なんだか、辛いな。