▽男はつらいよ 寅次郎春の夢(1979年 日本 104分)
監督/山田洋次 音楽/山本直純
出演/渥美清 倍賞千恵子 前田吟 笠智衆 三崎千恵子 太宰久雄 ハーブ・エデルマン 香川京子
▽第24作 1979年12月28日
夢がなんていうか日活の無国籍活劇みたいだった。
このニューヨーク篇の後、タイトルバックの江戸川の土手に女子テニスや女子の陸上の風景が展開していくんだけど、寅の目の前でスコートで素振りしてるところをあおって撮ったり、ジャージを脱いでトランクスになるのをまた延々と撮ったりと、寅の目の毒になる光景が続いていくんだけど、なんだか日活からにっかつ続きみたいな感じだったわ。
This is impossible。
さすがに辛くなってきた観が感じられる。もう寅が主体の片思い話では通用しなくなってきたんだろうかって。
さくらがハーブ・エデルマンに「アイラブユー」と告白されてしまったとき、また、さくらが寅に「実はね」と打ち明けたとき、さらには寅が「博にはいうなよ」と電話をしたとき、さくらは、そのとき初めて、恋を打ち明けられた女になってた。
冒頭の蝶々夫人の夢がこのあたりで生きてくるんだけど、それにしても、こういうさくらの女としての性をわざわざ確認してしまう設定が必要だったのかどうかよくわからない。
その分、香川京子との恋話がうすぼんやりとしてしまったような気もするし。
いや、それよりなにより林寛子の役割にいたっては梅野泰靖がタンカーの船長として登場したときの説明役に過ぎないわけで、これがまた香川さんを薄めてしまった気もするんだな。