▽男はつらいよ 拝啓車寅次郎様(1994年 日本 101分)
監督/山田洋次 音楽/山本直純
出演/渥美清 倍賞千恵子 吉岡秀隆 前田吟 笠智衆 三崎千恵子 牧瀬里穂 かたせ梨乃
▽第47作 1994年12月23日
夢の代わりに越後高田で小林さち子演じる演歌歌手のどさ回りの哀愁ぶりを見せてくれるんだけれども、渥美清がすごく小さくなった気がするね。
病をおしての出演だもの、つらいものがあるよ。
まあそれは呑み込んで、高田駅前郵便局はいい感じだ。
で、この頃定番化してる博のマラソンから始まるんだけど、満男は靴屋に就職していて、社長がすまけい。それにしても、太宰久雄もすまけいも細くなったな。出演者たちの年の取り方がありありとわかるようになってきたんだね。
寅も前回からマフラーが定番になって、登場の仕方も静かなもんだ。往年の威勢も影をひそめて、下条正巳との喧嘩はさくらの満男への電話説明にとどめてという段になると、さすがに観るのがつらすぎる。
それはともかく、吉岡秀隆と牧瀬里穂の出会う長浜の曳山祭なんだけど、いやまあ時代を感じる町並みで、今昔の観がありありだね。黒壁はあるからこの時期から観光客は多かったのかな。ちょいと残念なのは曳山の舵をどんなふうに切るのか見たかったけど。
にしても、寅はいきなり現れて満男を励まして消える。で、柴又にかたせ梨乃がやってきて帰ってくる寅とすれ違ってひと悶着あるかとおもえばさくらの満男への報告でまた裏芝居だ。まあかたせ梨乃は大泉成の奥さんってことになってるし、人妻に横恋慕してもね。そっと見送る寅の図でいいんだろね、たぶん。
なんにしても、脚本は難しかったろうなあ。
ていうか、江ノ電で見送られて寅が去って行ったのは初めてだな。
ちなみに、牧瀬里穂が正月に満男を訪ねてナレーションになったあと、寅がいるのは雲仙なんだけど、小林さち子と再会するのがここだ。陸前高田から雲仙とまあなんだか被災地めぐりみたいになってるわ。