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男はつらいよ 柴又より愛をこめて

2019年11月14日 00時33分27秒 | 邦画1981~1990年

 △男はつらいよ 柴又より愛をこめて(1985年 日本 106分)

 監督/山田洋次 音楽/山本直純

 出演/渥美清 倍賞千恵子 吉岡秀隆 前田吟 笠智衆 三崎千恵子 太宰久雄 栗原小巻

 

 △第36作 1985年12月28日

 夢は、NASAの宇宙飛行士になった寅が打ち上げの際のあまりの緊張に何度も尿意を催し、ついにおしっこを漏らすところまでなんだけど、中継アナウンサーの松野直美が女子高生になって友達らと寅を覗き込んで「おじさん、大丈夫?」と声をかけてくるところで目覚める。ここで、おもわず笑った。寅さんシリーズで笑ったのは何作ぶりだろう?

 この目覚めた会津高田駅が好い。只美線の沿線ロケーションもまた好い。まあ、1stシーンでさくらが帝釈天前を自転車で通り過ぎるわけだから、荒川の土手をタイトルバックにすることもないしね。地方ロケの方が味があるな。

 ところで、美保純が家出したことで太宰久雄が森本毅郎の番組に出のて叫ぶのは、一世一代の演技だな。

 にしても、寅、すごいな。下田でちゃんと美保純を探し出すとは、顔が広い。いや、顔が広いというか、初めて凄いとおもったわ。

 甘える美保純に男女のことわりをさりげなく講釈すると、どうして寅さんにお嫁さんが来ないんだろう、おれはめくらだからな、となる。よくわからんやりとりだけど、まあいいか。

 ただ、美保純を旅館に残して古なじみと呑んで帰らないというのはなんかね、いくらなんでもね、もしかしたら美保純とただならぬ関係になったらあかんという心配からなのだろうけど、そんなことを考えること自体おかしいだろ。美保純は小さい頃から寅に遊んでもらってたわけで、寅の気の回しようはおかしいぞ、やっぱり。

 しかし、あれかね、シリーズで唯一のヌードというのは、美保純が海岸の温泉に浸かったときにお尻と横からおっぱいが見える、これのことか~。

 それはさておき、いくら女先生にあこがれ、そうなろうとした栗原小巻に一目惚れしたとはいえ、美保純に「金魚のうんこみたいにくっついて気持ち悪い」とまでいわれるのはもちろんながら、栗原小巻もさみしいのはわかるけど、どこの馬の骨ともわからん寅にくっついてこられて島を案内とかしちゃうかな?

 そんなに人恋しいのかよとおもってて、またどうせなんかの都合でとらやを尋ねてくるんだろな~とおもってれば、その矢先、やっぱりそうなった。

 それはお決まりだからいいけど、川谷拓三と待ち合わせたマリオンの店内音楽が『カチューシャ』で夕食を食べに行った先の生演奏がバラライカだ。まあ、あれだね、やっぱり栗原小巻は『モスクワわが愛』なんだね。

 綺麗なんだけど、なんか強いな。厭味にならない高慢さというか、ひたすら重い。

 なところで、当時はまだ、調布飛行場の新中央航空の離島航路の発着所は、トタン屋根のバラックなんだね。ここでの演技ていうか台詞はまさしく舞台で、双発機が出ていくときにおもわず「ここは、カサブランカか」とおもったわ。

 ま、それはともかく、さくらが旅に出る寅を見送って帰ってきて「憑き物が落ちて、ホッとしたような顔をしてたわ」という台詞はまさしくそうだね。憑き物なんだよね、寅の恋は。

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