▽男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎(1984年 日本 102分)
監督/山田洋次 音楽/山本直純
出演/渥美清倍賞千恵子 吉岡秀隆 前田吟 笠智衆 三崎千恵子 太宰久雄 中原理恵
▽第33作 1984年8月4日
どこかの国の港町の酒場を舞台にした夢は、中原理恵と渡瀬恒彦が出る分、とらやの面々は出ない。なんか雰囲気ちがうね。
タイトルバックは岩手県北上市岩手山。鬼柳鬼剣舞でコントをする。のぼるが、かみのはしのたもとで今川焼きの店を経営してる。なんだか、懐かしいな。
まあそれはそれとして、なんだよ、寅、ナンパしてんのか?寅が床屋で見かけた中原理恵をわざわざおいかけてナンパし、さらにレストランで金がなくておごらせるといういつもの図はわかっちゃいるけどなんだかね。いくらなんでも、もうつらすぎる。
で、男と出て行った嫁をおいかけてきた佐藤B作に同情してという、まあ旅は道連れというやつで、寅の主題のひとつではあるけどなんかな~、寅がもうすこしおせっかい度が高ければB作を駅で見送った後、中原理恵がさりげなく手を組むのもありかとおもうが、最初から寅はB作を厄介者あつかいだし、なんだかね。
で、これまたいつものとおり、中原理恵の見え見えのさくら客だ。そこでようやく渡瀬恒彦のオートバイサーカス野郎の登場ってことになるんだけど、早くも前半が終わっちゃう。これはきついな。
で、やっぱりいつものとおり、寅はもてる。
中原理恵に「寅さんと一緒にいたい、ついていきたい、貯金もある」とかいわれたら、さくらに説教されたときのことをいいだして、説得にまわるってのはなんだろね。案外白状なんだねと恨みがましく呟いて立ち去りかける中原理恵に「そこまで送ろうか」とあほな台詞をいう寅だが、大丈夫子供じゃないんだからという中原理恵にしてみれば「いったいなんでナンパしてきたんだよ、てめ」みたいなもんだよね。
それでも翌朝「寅さんがもうすこし若かったら、あたし、寅さんと結婚するのに」とまでいわせる寅のもてぶりは凄いな。
髪結いの亭主になりそこねた寅の話だったわけだけど、その後わけがわからん。
中原理恵は渡瀬恒彦にたぶらかされる半分、寅をおいかけるために渡瀬恒彦の女になるみたいな展開で、結局、東京まで追いかけてきて、それで死にそうな病気になってとらやに収容されて助けられたかとおもいきや、寅が渡瀬恒彦を説得して別れさせたかとおもえば、中原理恵は病をおして「別れてくる」という。
半分、逢いたいのだ。男と女だね。しゃぶりあうような暮らしをするとそうなるんだな。
しかし「同じ渡世人同士話をつけた、だからもうあんな遊び人とは会うな」という寅に、中原理恵が「寅さんだって遊び人じゃないか、今同じ渡世人同士といったじゃないか」といって雨の夜に飛び出して行っちゃって、結局、なんの音沙汰もなく数か月後に手紙、そしてまったくの別な情けないがまじめな男と結婚とかって、こんな展開あるかね?