△男はつらいよ 寅次郎の休日(1990年 日本 106分)
監督/山田洋次 音楽/山本直純
出演/渥美清 倍賞千恵子 吉岡秀隆 前田吟 笠智衆 三崎千恵子 後藤久美子 夏木マリ
△第43作 1990年12月22日
夢が復活した、とおもえば単なる平安絵巻もどきのさくら式部の再会だけでなんのおもしろ味もない。
タイトルバックにしても、地方の窯元と川釣りだけでやっぱりなんのひねりもない。
出だしも、このところ毎回、さくらの家なんだが外見がどうも毎回ちがうような気がするんだけど、中のセットはおんなじなんだよね。勘違いかな。
それはさておき、夏木マリと吉岡秀隆との並列で、後藤久美子がトリで一枚なのはもうヒロインは後藤久美子てことなのね。だって『くるま菓子舗』を訪ねてくるのは後藤久美子なんだもんね。もう、寅の惚れた腫れただけじゃ難しいのかもね。
それにしても後藤久美子、このときまだ演技経験はないのかな。
しかし後藤久美子が訪ねてくると、満男はいつも友達を連れてきてて、あわててなんの説明もなく追い返し、友達はおもいきり腹を立て「おまえなんか、もう友達じゃねえ」とかいって帰っていくという展開はどうだ。満男までもがワンパターンになっていってしまうのね。
ていうか、音楽と挿入歌のひどさはなとかならんものだろうか。
しかしながら、満男はともかく、寅は『くるま菓子舗』の連中と喧嘩するでもなく、だから当然飛び出すでもなく、そのかわりに満男が日田まで向かうという展開で、そこでようやくヒロイン夏木マリがくるまやへ訪ねてきてようやくいつもの話のようになるんたけど、寅がブルートレインに乗るは初めてだね。
昔の邦画にはよく夜行列車があったけど、そういうとき渥美清は車掌だったかなあ。
ラスト、友達をおきざりにしながら後藤久美子に会うために自転車を蹴ったくる満男の、幸せについて考察し、人間はほんとうにわかりにくい生き物なのだというモノローグは良かった。