▽男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日(1988年 日本 100分)
監督/山田洋次 音楽/山本直純
出演/渥美清 倍賞千恵子 吉岡秀隆 前田吟 笠智衆 三崎千恵子 奈良岡朋子 三田佳子
▽第40作 1988年12月24日
夢が、ない。
寅が小海線に乗り一杯やりながら、しみじみさくらに語りかける。酒をすすめた車掌にえびせんにハサミをいれられたらもうタイトルだ。小諸の懐古園の祭だ。笹野高史に運動靴とジャンパーをかすめとられる小芝居のタイトルバックからそのまま小諸の旅になる。静かな展開だな。
というよりなんとなく死の匂いがするのは、三田佳子が女医になって登場するからかしらね。でも、寅はそのまま小諸にいる。で、とらやだけど、さくらがほぼ女将になっちゃってるんだよね。三平くんだかなんだかいう店員はいるし、なんだかちらっとだけと団子焼きの職人らしき人影も見えたりして。
ま、そんなことで徐々にとらやも変わっていくのかなって感じが漂い、御前さまも帝釈天の境内に立っているのではなく自宅の縁側でさくらと会話をかわすといった、なんていうのか、とにかく全員ががくんっと年を食ったっていう感じだった。なんだかね。
物語も見も知らぬおばあさんの死が底流になってて、全体的に暗さが漂う。
まあ、それを払拭しようとしてか、満男の受験話があったり、三田佳子の姪に三田寛子が出てたりして、なんだよ苗字つながりかよとかはおもってたって仕方ないんだけど、この早稲田の挿話がなんともつらい。
いくらなんでも大学の講義に寅が入り込むことはないし、講義を奪ってあほみたいなワット君の話を披露して早稲田の連中が行儀よく聞いているはずもないし、どっと笑い転げるはずもないもんね。
なんだか、ほんと、つらかった。
それにしても、またすまけいの登場かよっておもったけど、よほど山田洋次はすまけいが気に入ったんだろうか?