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男はつらいよ 寅次郎の青春

2019年11月23日 22時53分32秒 | 邦画1991~2000年

 ◇男はつらいよ 寅次郎の青春(1992年 日本 101分)

 監督/山田洋次 音楽/山本直純

 出演/渥美清 倍賞千恵子 吉岡秀隆 後藤久美子 前田吟 笠智衆 三崎千恵子 風吹ジュン

 

 ◇第45作 1992年12月26日

 夢が、まともになってる。

 不忍池のほとりでシェイクスピアを訳す文学博士車寅次郎のもとへ、その甥満男と彼が岡惚れした及川泉が駆け落ちしてきて、追っ手をつぎつぎに池へ投げ落とす講道館八段車博士なんだけど、おもしろさはない。

 で、目覚めた日南海岸でのタイトルバックもまた、警官に賄賂を握らせて怒られるくらいのことで、おもしろみはない。

 で、多摩川の土手を走る博と満男という展開だ。平和なホームドラマだな。

 で、宮崎の油津になるんだけど、寅に地名のクレジットが出ることってあったっけ?

 しかし、後藤久美子と宮崎城で再会するのはいいとしても、またもや、抱き着く。後藤久美子は、いつものこととはいえ、その抱き着き方の下手くそなことといったらなく、この回も観ていてかわいそうだった。後の彼女の結婚とかおもうと、なんだかとても想像できない抱きつき方だわ。

 まあ、それはさておき、永瀬正敏は上手いね。

 寅はあいかわらずの寅で、風吹ジュンとの別れになるんだけど、また満男が解説者だ。

「おじさんは最初はおもしろいけど、そのうち飽きる。おもしろいだけで奥行きがないからだ」

 そのとおりなのに、なんでまた、寅が町の連中に慕われてるんだ?

 嫌われ者の鼻つまみ者なんじゃなかったのか?

 拍手までされてなんか、ほんと、変われば変わるもんだね。風吹ジュンの床屋にふらりとやってきて髪を切ってもらいながら「おれと一緒にならないか」といわれる一幕だけど、なんとなく風吹ジュンの心情とひととなり、良かったね。でもそういうシンデレラ的な待ちの発想を、後藤久美子は否定するんだな、真っ向から。

 ま、それはそういう設定だからさておき、御前様、車椅子なんだね。笠智衆はいったいどうなっちゃったんだ…と心配してれば、蛾次郎に頭を剃られてた。ちょっとだけ、ほっとした。映画観て、役者さんの心配するってのもなんだかね。

 まあ、しかし、もはや、主人公は満男だな。東京駅のホームでの見送りのときのぎこちない抱き着きと、さらにぎこちない初キスは、なんというか、切ないね。

 てか、寅は、こんなに穏やかに旅立つのか。

「別れるときはどうしてこう心が通い合うんだろうね」

 というおばちゃんの台詞と、さくらのなにもかも悟った表情もつらいね。なんにしても、満男にまで無心しないといけない寅も、封筒に金を入れて満男から渡させるさくらも、みんなつらいな。

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