Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
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◇=☆☆☆
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▽=☆

ザ・タウン

2013年10月14日 17時04分41秒 | 洋画2010年

 ◎ザ・タウン(2010年 アメリカ 劇場公開版124分 未公開場面追加版150分)

 原題 THE TOWN

 staff 原作/チャック・ホーガン『強盗こそ、われらが宿命』

     監督/ベン・アフレック

     脚本/ベン・アフレック ピーター・クレイグ アーロン・ストッカード

     撮影/ロバート・エルスウィット  アレクサンダー・ウィット

     美術/シャロン・シーモア 衣装デザイン/スーザン・マシスン

     音楽/デビッド・バックリー ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ

 cast ベン・アフレック ジェレミー・レナー レベッカ・ホール ジョン・ハム

 

 ◎ボストン、チャールズタウン

 ベン・アフレックは、怖いほどでかい。

 常に強烈なオーラを発散させてるんだけど、

 それが知的であったり、暴力的であったり、感傷的であったりと、

 ひとつにまとまっていない分、かえって始末が悪い。

 どんなふうに対処していいのかさっぱりわからないからだ。

 オーラをぐっと堪え、おさえつけていたのは『アルゴ』だった。

 それは単に長髪で髭面という、

 傲慢不遜であつかましさを前面に出しながらもどこか気が優しい特徴的な顔を、

 なんとか印象を薄くさせていたからかもしれないんだけど、

 今回は、いつもどおりのベン・アフレック、全開だ。

 銀行強盗の仲間から抜け出したいともがくアフレックが、

 目撃者となってしまうレベッカ・ホールを連れ出してしまい、

 いったんは解放したものの、彼女が証言されるのを恐れたために、

 正体を隠して付き合う内に、抜き差しならない関係になっていき、

 そのために自分の身が危うくなってゆくという皮肉な物語は、

 非常に合ってる。

 アメリカという国家が、超大国でありながらも、

 若者たちは、

 自分の置かれている世界でもがき苦しみ、

 幸せを求めて旅立とうする。

 アフレックは、

 そうした若者たちの代弁者のような存在になってるのかもしれないね。

 アメリカの若者たちにとって、

 タウンは、そこらじゅうにあるんだね。

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ペーパーボーイ 真夏の引力

2013年10月13日 12時46分05秒 | 洋画2012年

 ◇ペーパーボーイ 真夏の引力(2012年 アメリカ 101分)

 原題 THE PAPERBOY

 staff 原作/ピート・デクスター『THE PAPERBOY』

     監督/リー・ダニエルズ 脚本/ピート・デクスター リー・ダニエルズ

     製作/ヒラリー・ショー リー・ダニエルズ

         エド・カテル三世 カシアン・エルウェス

     撮影/ロベルト・シェイファー 美術/ダニエル・ドランス

     衣裳デザイン/キャロライン・イースリン=シェーファー 音楽/マリオ・グリゴロフ

 cast ザック・エフロン マシュー・マコノヒー ジョン・キューザック スコット・グレン

 

 ◇1969年、フロリダ州モート郡

 その沼地、海岸、乾燥した町。

 なにもかも暴力的で、セックス中毒で、ホモやレズが横溢しているところが舞台だ。

 そうした中で、

 ニコール・キッドマンの存在は凄まじい。

 いったい頭の中身がどうなってるのかわからないような女を演じ、

 死刑判決を受けている服役囚に憧れ、手紙をやりとりして婚約し、

 新聞記者たちと共に面会に訪れた先で、

 手錠をはめられたジョン・キューザックの命令どおり、

 股をひらいて真っ赤な下着をあらわにし、パンストをみずから破り、

 フェラチオをしているように口をすぼめ、はあはあと喘ぎ、

 その場で、数メートル離れたところに腰掛けてる婚約者をイカせようとする。

 キューザックもキューザックで、キッドマンに反応し、おそろしく欲情し、

 足を開いたまま、ズボンの中で射精するんだから、

 いや、まじにハリウッドのスターたちがどないなっとんねん!っていう内容だ。

 それにとどまらず、

 キッドマンは、くらげに刺されたマシュー・マコノヒーに放尿するし、

 キューザックは吊るされたワニの腹を切り開くし、

 さらに釈放後、洗濯機の上でキッドマンを犯すところなんざ、凄いリアルさだ。

 ねばっこく、きわめて暴力的な演出のせいもあるんだろうけど、

 ともかく、亜熱帯のような沼地で、臭気の中で繰り広げられる暴力と破壊は、

 なまぐさい性衝動とごっちゃまぜになって、

 観ていて決して気持ちのいいものではないし、鑑賞後はどっと疲れた。

 後味がいいとはもちろんいえないんだけど、

 どうしようもない絶望感と挫折感が漂う中に、

 ペーパーボーイがブン屋になっていく未来を語ってくれるのは唯一の救いだわ。

 いや、まじ、すごかった。

 でも、邦題は、あかん。

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パブリック・エネミーズ

2013年10月12日 12時28分44秒 | 洋画2009年

 ◇パブリック・エネミーズ(2009年 アメリカ 141分)

 原題 PUBLIC ENEMIES

 staff 原作/ブライアン・バーロウ『パブリックエネミーズ』

     監督/マイケル・マン 製作/マイケル・マン ケヴィン・ミッシャー

     製作総指揮/G・マック・ブラウン ロバート・デ・ニーロ ジェーン・ローゼンタール

     脚本/ロナン・ベネット アン・ビダーマン マイケル・マン

     撮影/ダンテ・スピノッティ 美術/ネイサン・クロウリー

     衣裳デザイン/コリーン・アトウッド 音楽:エリオット・ゴールデンサール

 cast ジョニー・デップ マリオン・コティヤール クリスチャン・ベイル キャリー・マリガン

 

 ◇1930年代、大恐慌時代

 ギャングのジョン・ハーバート・ディリンジャー・ジュニアは、

 FBI長官J・エドガー・フーヴァーから、

 Public Enemy No.1(最大の社会の敵)と呼ばれるようになるんだけど、

 この銀行を襲っても客からは金銭を奪おうとしない強盗は、

 市民から義賊のように慕われてた。

 だから、かれが銃撃されて死んだ1934年7月22日は、

 いまでもJohn Dillinger Dayって呼ばれて、行事があるらしい。

 墓石が削られて持っていかれるなんて、

 なんだか鼠小僧みたいな感じだけど、

 義賊に対する扱いは洋の東西を問わないのかもしれないね。

 ちなみにディリンジャーが撃たれたのは、

 バイオグラフシアターっていうシカゴ郊外のリンカーンパークにある映画館の前なんだけど、

 このときにディリンジャーを裏切って通報したのは、

 アンナ・セージっていうルーマニアから移民してきた女友達で、売春宿の経営者だ。

 FBIの要請で目立つような服を着ろといわれてたから赤いドレスでデートしてたらしい。

 だから、今でもアメリカじゃ、破滅に導く女はthe lady in redとかっていわれるんだと。

『赤いドレスの女』とか『ウーマン・イン・レッド』とかっていう映画もあったけど、

 いまだに運命的な女の象徴になってるんだね、やっぱり。

 ところで、ディリンジャーを追いかけていたFBIは、ふたつに分かれてた。

 フーバーの部下で特別捜査班の長になってたメルヴィン・パービスだ。

 パービスはずいぶんのちに自殺するんだけど、これを演じたのがクリスチャン・ベイル。

 ジョニー・デップとの色男対決はたぶん女性観客には受けが好かったんだろうけど、

 ぼくは「おお、白塗りじゃないジョニデはひさしぶりに観たわ」とまずおもってしもた。

 注目すべきはやっぱりマリオン・コティヤールで、いやまあ上手だ。

 ディリンジャーの恋人ビリー・フレシェットを演ったんだけど、実にリアルだった。

 インディアンとの混血には見えなかったけど、それはご愛嬌だ。

 ちなみにビリー・フレシェットとディリンジャーの交際期間はあんまり長くなくて、

 出遭ってから半年後には逮捕されてるし、服役中にディリンジャーは銃殺されてる。

 いちばん燃え上がったときの恋人の悲劇なんだから、辛さは想像して余りある。

 ただ、一般女性が義賊とはいえどんどん悪人に嵌っていく過程は、なんかよくわかる。

 女性って、男次第で変わるのかな~。

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武士の家計簿

2013年10月11日 13時26分14秒 | 邦画2010年

 ◎武士の家計簿(2010年 日本 129分)

 staff 原作/磯田道史『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』

     監督/森田芳光 脚本/柏田道夫 撮影/沖村志宏 美術/近藤成之

     装飾/鎌田康男 殺陣/中瀬博文 題字/村田清雪 算盤考証/吉田政美

     軍事教練指導/伊藤清(元海上自衛官) 音楽/大島ミチル

 cast 堺雅人 仲間由紀恵 中村雅俊 松坂慶子 伊藤祐輝 西村雅彦 草笛光子

 

 ◎幕末、加賀藩御算用方、猪山家

 好感がもてるっていうのか、

 いたずらに評判の漫画や小説とか使うんじゃなく、

 自分たちのオリジナルにこだわることもなく、

 こういう歴史のちいさな事実から考証されたものを元にするっていう姿勢は、

 ぼくは嫌いじゃない。

 もちろん、脚本にする際にかなりのカリカチュアはあったんだろうし、

 そうじゃなければ映画にはなりえないんだろうけど、

 そのあたりは肩の凝らない感じで仕上がってるようにおもえたわ~。

 そりゃあ、欲をいえばきりがないし、

 もうすこし役者たちのわざとらしさはなんとかならないかしら、

 とかおもわないでもないし、

 セットやロケ地が綺麗すぎてかえってリアルさに欠けてない?

 とかいいたくならないでもないんだけど、

 そんなところは枝葉のまた枝葉で、

 映画の主題として、そろばん、というものを用いた目のつけどころに、

 今回は「ええんやないの?」とかおもってしまったんですわ。

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ラヴェンダーの咲く庭で

2013年10月10日 22時51分46秒 | 洋画2004年

 ◎ラヴェンダーの咲く庭で(2004年 イギリス 105分)

 原題 Ladies in Lavender

 staff 原作/ウィリアム・J・ロック『Ladies in Lavender』

     監督・脚本/チャールズ・ダンス 撮影/ピーター・ビジウ

     美術/キャロライン・エイミス 衣裳デザイン/バーバラ・キッド

     音楽/ナイジェル・ヘス ヴァイオリン演奏/ジョシュア・ベル

 cast ジュディ・デンチ マギー・スミス ナターシャ・マケルホーン ダニエル・ブリュール

 

 ◎1936年、大英帝国コーンウォール

 話が前後しちゃうようで嫌なんだけど、

 2005年の春、やっぱりイギリスの海岸で、

 全身ずぶぬれの黒服の青年が発見されたっていうニュースが流れた。

 青年は病院に収容されたんだけど記憶喪失になってて、

 ただ、グランドピアノの絵を上手に描いて、ピアノも上手に弾いたもんだから、

 ピアノマンと呼ばれて、その正体が何者なのか色んな憶測がなされた。

 へ~、そんなロマンチックなことがあるんだ~と、そのとき、ぼくはおもった。

 結局、後になって、

 この青年が20歳のドイツ人だったってことが判明したんだけど、

 その名前とかが日本で公表されたのは、それからさらに後のことだ。

 で、このニュースが流れてまもなく、この映画が公開された。

 びっくりするほど、ピアノマンのニュースとよくにた内容だった。

 コンウォールの海岸に漂着したポーランド人の若者が、

 実はヴァイオリニストで、しかも相当な腕前で、

 かれを助けた老姉妹が胸をときめかせるんだけど、

 たまさかコンウォールに滞在していた、

 ドイツ人の若く美しい女性画家と知り合い、

 くわえて彼女の兄が世界的なヴァイオリニストだったものだから、

 彼女は彼の才能を開花させるために村からロンドンに連れ出してしまい、

 老姉妹は傷心のためで心が塞がれてしまうんだけど、

 やがて彼と彼女から手紙が届き、コンサートに招待されるって話。

 結局、ピアノマンの事件はあいまいなまま終わったんだけど、

 真実はなんだったんだろうね。

 ま、そんなこともあって、この映画は印象深いものになっちゃったけど、

 そうでなくても、とっても情緒的な作品に仕上がってて、

 ぼくとしては好きな部類の映画なんだよね~。

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フィクサー

2013年10月09日 13時13分30秒 | 洋画2007年

 ◇フィクサー(2007年 アメリカ 120分)

 原題 Michael Clayton

 staff 脚本・監督/トニー・ギルロイ

     製作/シドニー・ポラック スティーヴン・サミュエルズ

         ジェニファー・フォックス、ケリー・オレント

     製作総指揮/スティーブン・ソダーバーグ ジョージ・クルーニー

              ジェームズ・A・ホルト アンソニー・ミンゲラ

     撮影/ロバート・エルスウィット 美術/ケヴィン・トンプソン

     衣装/サラ・エドワーズ 音楽/ジェームズ・ニュートン・ハワード

 cast ジョージ・クルーニー ティルダ・スウィントン シドニー・ポラック

 

 ◇4日間のサスペンス

 どうもフィクサーという言葉の印象は、ぼくの場合、黒幕っていう感じが強すぎて、あんまり好きな語感じゃない。だから、しょっぱな、クルーニーの立場がよく見えなかった。あれ?クルーニーって黒幕なんだよね?てな感じで、まるでとんちんかんだった。ただまあ、台詞を聞いている内に、なるほど闇の仕事人って意味かと理解したものの、やっぱりしっくりこない。

 ま、そんなつまらない錯覚はさておき、シドニー・ポラックにしてもジョージ・クルーニーにしても、ふたりとも巨悪に立ち向かうんだけど決して恵まれた環境にはいない主人公が好きらしい。ことに、その巨悪が政治がらみの巨大企業とか公的機関だったりすると、さらに燃えるような印象がある。

 で、今回は巨大な農薬会社だ。

 さらにクルーニーが揉み消し屋として勤務しているのは巨大な法律会社だ。なんだか『ザ・ファーム』の二番煎じみたいな感じがしないでもないが、ふたりが制作に絡んでいることからもわかるように、よほど作りたい主題なんだろう。こういうエコがらみの話だと、ぼくはどうしても日本の高度成長期をおもいだすけど、どうやら、アメリカでは未だにそういう問題が多発しているらしい。もちろん、中国とかでも深刻な問題になってるし、日本だけが顕在化してないんだけど、ほんとはどうなんだろうね?

 でも、クルーニー演じるマイケル・クライトンがいいのは、等身大の人間っていうか、いきなり借金を抱えさせられてどうしようもなくなってるっていう、追い込まれた人間だってことだ。さらに離婚していて、おそらく週一(という説明はないけど)息子の送り迎えをするときだけ会えるという悲しい境遇だ。そういうときについつい手を出してしまうのがギャンブルで、ポーカーですったり儲けたりの繰り返しだ。ベンツはかっこいいけど事務所のリースだから自分のものじゃないし、金に目が眩む人間だと自分でもいう。要するに人生に挫折して自暴自棄になりながら闇の仕事を請け負いながらもやっぱり陽のあたる仕事つまり訴訟担当に戻りたいっていう希望を抱えてたりする。清廉潔白な人間よりもずっと人間臭い。

 こういう脛に傷のあるような人間が、自分のやってる仕事に嫌気がさし、親友の身を呈した行動に背中をおされて戦いに身を投じるっていうのは、ぼくのとっても好きな展開なんだけど、いやまあ、ほんとに地味なんだよね、これが。渋みのある大人のサスペンス映画としては成功なんだろうけど、ね。

 ただ、脚本はすばらしい。なんだか得体の知れないモノローグが始まったかとおもえば、そうじゃなくて、長年の親友といった方がいい同僚からジョージ・クルーニーのところへ入ってきた電話の長台詞だった。これがかぶさりながら、クルーニーの置かれている立場と、これからメインの舞台となるであろう農薬会社の訴訟の裏舞台がそれとなく見せられる。音楽も打楽器が中心で、全体に不気味な印象が漂っているあたり、いやまじで好きな感じだ。

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アップサイドダウン 重力の恋人

2013年10月08日 18時59分34秒 | 洋画2013年

 ◇アップサイドダウン 重力の恋人(2013年 カナダ、フランス 109分)

 原題 Upside Down

 staff 監督・脚本/フアン・ソラナス

     撮影/ピエール・ギル 美術/アレックス・マクドウェル

     衣装 /ニコレッタ・マッソーネ 音楽/ブノワ・シャレスト

 cast キルスティン・ダンスト ジム・スタージェス ティモシー・スポール

 

 ◇矛盾を乗り越えられない私

 宇宙のどこかの太陽系に双子惑星があって、

 そこは星と星とがほとんどくっついてるものだから、

 下の星の北極と上の星の南極あたりに都市が発展し、

 人間の行き来も可能になってるという設定なのはわかる。

 でも、物語の途中で、

 ふしぎな形のカクテルを登場させたり、

 おしっこが天井に漏れちゃったりするのを撮りたいがために、

 それぞれの星の分子で構成されているものは、

 それぞれの星の重力に影響を受けるという、

 複雑な設定まで作ってしまったことが、

 この物語の核心になっているのと同時に、

 もうそりゃいっぱいあるさってくらいの矛盾をはらんでしまった。

 致命傷とまではいわないし、

 決して一緒になれないであろうカップルの話を作るには、

 好都合な設定なんだけど、

 映画って、納得できない矛盾に出くわしちゃうと、

 そのあとがどれだけ面白くても、話に身が入らなくなるんだよね。

 この映画がそれで、

 特撮はしっかりしてるし、映像も美しいんだけど、どうもね。

 なにより疑問なのは、

「ふたりの間に子供ができたら、どちらの引力の影響を受けるんだろ?」

 ってことで、

 おそらく卵子と精子がくっついた瞬間にとんでもない事態になるんじゃないかな~と。

 だって、おしっこだってそれぞれの生まれた星の引力の法則に従うんだから、

 当然、唾や汗だってそうだし、精液だってもちろんそれぞれの星の引力に従う。

 こりゃ、無理だよね。

 そんなことを考えてたら、どれだけロマンチックな設定でも、

 身が入らなくなる。

 この映画には、

 どうやら、映画の魅力に惹きつけられる人間と、惹きつけられない人間がいて、

 その両者は、もしかしたら、

 物事を感情で捉える人と理詰めで捉える人なのかもしれない。

 でもな~、

 ぼくは本来、前者のはずなんだけど。

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11:14

2013年10月03日 00時24分11秒 | 洋画2004年

 ◇11:14(2004年 アメリカ、カナダ 88分)

 原題 11:14

 staff 監督・脚本/グレッグ・マルクス

     製作総指揮/サミー・リー デヴィッド・ルービン

              ヒラリー・スワンク スチュワート・ホール

     撮影/シェーン・ハールバット 美術/メイシー・ベナー

     特殊メイク/ジョエル・ハーロウ 音楽/クリント・マンセル

 cast ヒラリー・スワンク パトリック・スウェイジ レイチェル・リー・クック

 

 ◇5つの因果

 午後11時14分、疾走する車のフロントガラスに人間が降ってくる。

 という出だしは悪いものではないんだけど、

 おもな展開はこの後どうなるかっていうことではなくて、

 ここにいたるまで、どうなっていたかっていう話になってる。

 5つの筋立てがあって、

 それぞれの登場人物が友達だったり家族だったり浮気相手だったりして、

 各人物が、自分あるいは大切な人間が罪を犯したかもしれないと焦り、

 その隠蔽工作を自分なりにやっていく内に、

 事件や工作が数珠つなぎになっていって、

 やがて陸橋から放り投げた死体が、フロントガラスに激突するっていう、

 いわば、ウロボロスの蛇のような筋立てになってる。

 決して嫌いな構成じゃない。

 でも、なんか話が小さいのは、予算のせいなんだろうか?

 だから、

 田舎町のかなりどうしようもない人間たちの周辺で事件を起こすしか、

 ドラマとして作るのが難しかったんだろうか?

 てなことを、観てておもっちゃったわ。

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鉄人28号 白昼の残月

2013年10月02日 00時01分28秒 | 邦画2007年

 ◇鉄人28号 白昼の残月(2007年 日本 95分)

 staff 原作/横山光輝『鉄人28号』

     監督・脚本・絵コンテ/今川泰宏 演出/古川順康

     キャラクターデザイン/なかむらたかし 石川晋吾

     作画監督/石川晋吾 櫻井邦彦 美術監督/松本浩樹

     音楽/伊福部昭

     主題歌/六本木男声合唱団倶楽部『進め!正太郎』『鉄人28号』

 cast くまいもとこ 粟野史浩 牛山茂 石塚理恵 内海賢二 語り/矢島正明

 

 ◇昭和30年、東京

『パシフィック・リム』を観ると、どうしても『鉄人28号』を観たくなるのは、

 ぼくだけだろうか?

 ギレルモ・デル・トロは、小さなときから『鉄人28号』のファンだったらしい。

 なるほど、わかる。

 あの鋼鉄の巨体ががちあう圧倒的な重量感は、

 ぼくたちが子供だった頃、鉄人から受けた感覚そのものだ。

 そのデル・トロがこの映画を観たとき、

 はたして、どんな感想を口にするのかはわからないけど、

 今回の作品は、おそらく歴代の鉄人の中では最高の出来栄えだろう。

 作品を比較することは好きじゃないけど、

 これよりも数年前に制作された実写版に比べて、

 充分に留飲の下がるものだった。

 伊福部昭の楽曲を用いたのも、昭和ノスタルジーが感じられて好い。

 とはいえ、

 ぼくにはぼくなりの鉄人の好きな部分がある。

 歩くときに旧テレビ版では、がるらん、ごるらん、という音が立っていた。

 鉄が転がるような、いかにも重々しい音に、幼いときのぼくには聞こえた。

 咆哮は、ばぁんぎゃおぅん、と聞こえた。

 ソノシートにそれが入っていたのかいないのか、

 今では実家の物置をかっさばいても聞き返すことはできないけど、

 ともかく、

 その効果音は『マグマ大使』の笛の音「ぴびゅるぴぴぃ~」と同じく、

 ぼくの中ではどうしても変えてほしくないものの筆頭なのだ。

 当時、

 プラモデルやおもちゃに始まり、

 グリコの景品はもちろんのこと、

 月刊誌「少年」を毎月とってて、

 カッパコミックス版が刊行されるや、やっぱり毎月買ってたぼくは、

 漫画や景品からは絶対に聞くことのできない鉄人の跫音と咆哮に、

 もうめちゃくちゃ胸を躍らされたものだ。

 それが、今回もまた聞くことが叶わなかった。

 悲しい。

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ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月

2013年10月01日 00時49分48秒 | 洋画2004年

 ◎ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月(2004年 アメリカ 107分)

 原題 Bridget Jones: The Edge of Reason

 staff 原作/ヘレン・フィールディング

          『ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月』

     監督/ビーバン・キドロン

     脚本/ヘレン・フィールディング アンドリュー・デイヴィス

         リチャード・カーティス アダム・ブルックス

     撮影/エイドリアン・ビドル 美術/ジェンマ・ジャクソン

     衣裳デザイン/ジャイニー・テマイム 音楽/ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ

 cast レニー・ゼルウィガー コリン・ファース ヒュー・グラント ジャシンダ・バレット

 

 ◎題名、長っ

 なぜか、ヒットした映画の続編はタイにならない?

 ていうか、コメディの場合、

 タイやインドのような混沌とした印象のある不思議な土地が魅力的に見えるのかな?

 てなわけで、この作品もご多分に漏れず、東南アジアだ。

 ただ、さすがに続編になって予算が多くなったのか、

 けっこうロマンチックな特撮のワンカットが入れられてたりする。

 アパートメントからちょっと離れたアパートメントまでのワンカットとかがそうで、

 ダブル・ネガティブ社が視覚効果を担当してたりする。

 まあ、アメリカ国内だけでラブコメを展開するのは派手さがないし、

 どうしても大掛かりな設定と舞台にぶちこんで、

 ブリジットを追い込んでいかないと、結婚まで持ち込めないから、

 これはもう仕方がないんだけどね。

 にしても、

 いつもながら感心するのはコリン・ファースとヒュー・グラントだ。

 英国王や首相の役まで演じるふたりが、徹底した妙な男を演じるのが、

 いかにも楽しい。

 ところで、タイとかが舞台になると、なんで麻薬の話がよく絡むんだろう?

 いまだに東南アジアは麻薬の密輸の温床になってるんだろか?

 ぼくにはまるで縁のない世界だから、よくわからないんだけど、

 もしも麻薬の密輸に巻き込まれたりしたら、えらいことだ。

 ま、そんなことはともかく、

 男も女も恋愛中に共通してるのは、

 相手が、仕事にしても収入にしても、格上だとかおもってると、

 ついつい、その不釣り合いさに歪な劣等感を抱いてしまい、

 悩まなくてもいいことを悩んだりしちゃうことだ。

 これはまあ全世界に共通してるんだけど、

 実は、劣等感を抱いてるのは自分だけで、相手はあんまり考えてない。

 だって恋愛は、身分やお金を対象にしてするもんじゃないしね。

 とはいえ、

 そりゃあ、人も羨むような仕事をしてたり、

 お金がいっぱいあるに越したことはないけど、

 世の中、バイタリティがあれば、多少のことはすっとばせるものさ、

 ってなことを、ブリジットが証明してみせるのがテーマなんだろね。

 実際、そうであってほしいもんだわ。

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