Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ZEISSの空気36. 琉装

2018年08月04日 | Okinawa

 今回の沖縄では、ダイビングの他にもう一つ目的があった。それは沖縄の民族衣装である琉装の画像を採取することである。もちろん沖縄料理店や首里城に行けば琉装の女性達はいる。そこまでつきあっている時間は、こちらにない。

 そう思っていたら、夜飲み屋のアルバイト客引きで20代の女性が琉装でいるではないか。やはり若い子が着ると大変美しい。これだよ私が理想としていたのは。なんだ簡単にいるではないか。しかし見とれていて撮影しそびれた。

 しょうがないから、那覇市内の琉装店に出かけて撮影したのが今日の画像であり、孫のポケットマネーで買える85歳の長寿祝いの琉装だ。お店はなんと97才の琉装まで用意されている。しかし20代と85才では私のイメージとは違いすぎるが、まあこれしか画像がないしええか。

 琉装も、いまはインクジェットプリンターによる彩色が圧倒的に多い。私が見た飲み屋の客引き姉ちゃんもインクジェットプリンターで出力したものだが、それでも若い子が着ると大変美しいわけです。

 那覇市立工芸館にでかけて、名工達による琉装をみた。写真撮影禁止とあったので密かに撮影してMac上で見比べてわかったのだが、名工達の琉装は、京都友禅の技法を取り入れ染めで仕立てており、彩度が低く大変上品だ。どうですこの渋さは、いいでしょう。沖縄の技術も本土には負けていませんよ。そんなメッセージを感じたのだが、はて!?、と首をかしげた。渋い上品な色合いならば京都にも沢山あり、それは見慣れている。はて京都と同じ事をしてなんか意味があるんだろうか!。もちろん値段は0が二つつくぐらいに高価なのだが。一度も誰も袖を通すことがない工芸品ですか・・・。それは工芸品の域を外れているよな。

 工芸の世界には、日常品から、毎年三越で行われている日本伝統工芸展に展示される超高級工芸品に至るまでの1ウェイのヒエラルキーがある。だからみんな頂点を目指して頑張るわけだが、それってなんか違わない!?。だってそんな超工芸品をどこで誰が使うんですか?。そんな疑問がわいてくる。一度も袖を通すことがない着物や、料理が盛られることがない器ばかりでしょう。

 柳宗悦は、用の美をといた。日常生活のなかでこんなに美しい道具が数多くあることを指摘した。それをしった工芸職人達は美を追究すれば高く売れるんだと解釈した。それに美の追究は楽しいではないか。そこで工芸作家が誕生し、ひたすら技を磨き頂点を目指している間に用の方はとんと忘れ、誰が使うかなど全く考えず、ひたすら超工芸品の技に自己陶酔する世界になってしまった。だから私は、日本の工芸界が1ウェイのヒエラルキーだと解釈しているのである。

 工芸館のビデオの中に、琉球染めの着物による帯留めの和装の画像があった。和装だから本土と同じスタイルだ。これ京都人には、ぴんとこないなぁー。京都と同じ事をやらかすと、衰退産業になりますよ。

 琉装は下寰、胴衣、表衣で構成され、帯ではなく紐で結び、広襟を返して返襟というのが正装なのだ。だから7月18日のブログ「南の島の話」でも書いたけど、ナンパした若い女の子とオカンが翌日琉装で貴方のホテルに表れ「嫁にもらってくれてありがとうございます・・・」、なんてやられたひには、あなたはイチコロでしょうというわけだ。

 例えプリント柄であっても琉装は若い女の子が着たら大変美しい。誰が着るかが重要であって、どんな技でつくるかは二の次さ。日本の工芸界や工芸作家の多くは、そこを勘違いしていませんか!?。

 さて昨日の京都も39度の日が戻ってきた。そりゃ肌が痛いぐらいに違和感を感じる。暑さをいいわけにして、仕事を放り投げ終日エアコンを効かせ寝ていたです。

 

那覇市原國商店

SONYα6000,ZEISS Vario-TessarE4/16-70mm

ISO800,焦点距離20mm,露出補正-0.3,f/4,1/60 

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