翼の中学校の屋上にあがると小樽の海が見える。その海岸線に、今は使わるとは思われない数えるほどの夏の海の家が少しばかり建ち並んでいる。翼は、夏の海水浴場の監視員のアルバイトをしたのがきっかけで、今でもときどきシーズン以外の夏のマリンショップのロフトの管理をアルバイトにしている。持ち主からも、中学生だけどちゃんと管理をしてくれるので重宝されている。
光凛「最近、翼は変わったねぇー。あんまし水泳の記録に関心がないしさ。それに横飛びステップをしたり、公務員試験の本なんか読んでいたりして・・・」
翼「うん、おれ!、高校を卒業したらダイバーをめざしたいとおもっているんだ。記録は光凛(ひかり)にまかせるよ」
光凛「ダイバーって!、どこで教わるの?」
翼「海上保安大学校!」
光凛「はあ、何それ?」
翼「つまり、海上保安官です。もちろん学科の試験があるけどさ・・」
光凛「どこにあるの?」
翼「広島の呉ですぅー、こんど映画見にゆこうよ、海猿っていうの。シネコンでやっているときがあるよ」
光凛「フゥーーん、それよか高校は?」
翼「どこでも、いいかな。小樽高校でいいかな。光凛はプールがないとダメだよなぁー、」
光凛「小樽高校ダメ!、あそこプールがないもん。いつも外のプールで練習だよね」
翼「小樽ってプールに消極的なんだよね。スイマーだと、ちとつらいっすねぇー!」
光凛「うん!、それよか翼ーー、明日記録会なの!!」
光凛さんがおねだりしている。中学生とはいえ、水泳で鍛えているから立派な女の体になっている。それに何故か全体が丸っこいスイマーの特徴が現れている。概してスイマーは、毎日の練習によって成長が著しく早い。
光凛「今日、あれ、しようよ、しないと記録でない!!」
翼「じゃあ、あとで海のロフトで・・・、ウィ!!」
そういって翼は、腰の鍵束をジャラジャラさせて親指をたてた。
・・・
海のロフトは、側を函館本線が通るから列車の震動が響く。それをのぞけば潮騒の音しか聞こえない。翼は、時折掃除もあるし、一人になりたいときは、ここを使っているから勝手知ったる家同然だ。ロフトの上にゴロッとできる場所が設えてある。回りの海のグッズが潮のにおいを放っている。
翼「では体調管理で・す・か・ね」
光凛「だってぇー、ホルモンとかの分泌で体調が良かったり悪かったりするじゃん。でね、セックスすると体調が良くなって水泳に集中できるの。記録会前の必須ですぅー・・・」
そういって光凛がウェアを脱いで翼に抱きついてきた。
朱凛「もう、性欲が身体の中に一杯たまっているの、もう一杯燃えさせてぇー」
・・・
潮騒が静かに聞こえている。今日の海は穏やかだ。