Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ドローイング311. 小説:小樽の翆242. 名残 

2020年11月22日 | Sensual novel

 

 小樽の花園界隈には、2軒の画材屋がある。画材の調達に出かけた。

 小樽の背後にみえる天狗山には、既に雪が積もっているが街中に雪はない。そのうちドカンと街にも積もってくるだろう。

 商店街の横町のはるか先に、旧日本銀行小樽支店がみえている。寒い空に独特の屋根形状がよく似合う。明治末年の名残だ。

 小樽市内に近代建築が多く残っているが、今ではポツネンと立っており隣地が空地というのが寂しい。やはり街並みとしてつらなっている方が綺麗なのだが。もちろん北のウォール街と呼ばれていた頃の名残はない。

 踵を返して花園の画材屋に出向いたら、また明菜さんに出会った。

明菜「冬の空だけを描きたいの」

「冬の空だけ!。面白そうなテーマね!。隣でお茶する?。珈琲と手作りプリン・・・」

明菜「ゆくゆく!」

こういうとき、コロンビア珈琲の昔ながらの赤い椅子が、冬のために設えたかのような居心地の良い気分にさせてくれる喫茶店だ。

さて明菜さんの初体験は小春から聞かされちゃったし、といって将来どうすんのというありきたりの話題も、つまんないし・・・。

明菜「どこで描こうかなぁー、冬の空・・・」

「積丹半島!」

明菜「遠いよぉー」

「イーゼル立てて描くの?」

明菜「学校のイーゼルを借りて」

「じゃ学校の近辺かぁー、彼氏と描きにゆくのかい?」

明菜「うん、そう、ねえ、冬の空の絵具って何がいい?」

「セピア、グレイ、それにバイオレットを加えると夕方の西日の頃になるかなぁー」

明菜「叔父さん、どんな絵具を使っているの?」

「透明水彩で描くから、発色のよいシュミンケ」

明菜「わっ、金持ちぃーー、だって1色、1,000円以上するよ」

「ホルベインで十分だと思うよ」

・・・・

そんな絵の話をして一時を過ごし、実に真面目な珈琲タイムで。どうも美人の明菜さん相手に下の話はしずらい空気だ。明菜さんも女だし、すれば柔らかくかわされるかもしれない。

だから、遠目で明菜さんのスタイルのよいボディを鑑賞していた。

17歳の今が一番バランスがとれていて女として一番綺麗な時だ。この年齢をすぎると、大いに皮下脂肪がつき、やたらと丸くなるが、既に美の瞬間を通り過ぎている。二十歳をすぎたらみんな一緒で、メイクだファッションだ、あるいはエクササイスだと努力はするが、既に手遅れの感がある。

そして歳をとるまで、あまり変わらないから、17歳をすぎたらオンナのボディは魅力半減。その一番綺麗だった17歳の頃の名残で男達を口説いてゆくわけだ。

つまり二十歳すぎたらお古かぁー。女達は名残でいきてゆく、明治の洋風建築みたいだなあ。

コメント
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