Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ドローイング310. 小説:小樽の翆241. すこぶる寒い一日

2020年11月21日 | Sensual novel

 

 11月になると、すこぶる寒い1日がある。

それは雪が降りそうで降らない曇天で、身体が縛れるような寒さがあり、もちろん外に出るのもはばかられる。体が冬の気温に慣れておらず、冬が慣れろ!、とわんばかりの寒さでやってくる。そんな寒さに遭遇すると、一日中布団の中に隠っていたい。だから街も静かだ。

 そうはいっても、アチキは日課にしている夕方の公園で海の風景を描きにでかけた。こんな時こそ面白い風景が描けたりするかもしれない。

それでも小学校は、やっていて(当たり前か)、下校時に小春がやってきた。

小春「今日は、寒いよーーーーーー」

「この間のデートは、どうでした?」

小春「フフフ、ちゃんと映画見て、マックにいって、そのあと金精様にでかけて、夜遅く、お家に帰ったよん。ユウくんが、このコートを格好いいじゃんといってくれた」

「小学生でもなく、大人でもない、そんなスタイルは格好いいよね。金精様にいったということは、ユウ君とセックスしたんだ」

小春「モチ!、ゴム付けてぇー」

「小さな恋の物語は、いいなぁー、うらやましい」

小春「そうお!、あら叔父さん、今日は海の風景じゃなくて、そこの街灯なの?」

「海はもやっていて描けないよ、ほなら身近なモチーフで。寒いから背景は赤にしよう」

小春「随分と手抜きじゃない?」

「街灯だって、美しいさ」

小春「今日、超寒いもんねぇー」

「もう、この辺が限度だ。帰ろうよ!」

小春「そうだね。じゃ、腕くんでゆこうよ」

そういって、小春と腕を組んで坂道をおりた。

もう大人の身体だなぁーと思った。小春の身体は新陳代謝が活発なのか、温かい。

それにユウ君と初体験をしてから、人間に対する好奇心がわいてきたのだろうか、イキイキと弾んだ感じがする、そこが心地よい。

分かれ道で小春が「バイバイ、またねぇー」

そういって小春を見送り、我が家に帰った。

まだ翆は帰ってない。家の中は深閑と冷えている。

ストーブ、ストーブ・・・・。

・・・・・

雨が降りそうで降らず、空気だけが異常に冷たい一日だった。

小樽は、終日、暗い曇天であった。

コメント
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