11月になると、すこぶる寒い1日がある。
それは雪が降りそうで降らない曇天で、身体が縛れるような寒さがあり、もちろん外に出るのもはばかられる。体が冬の気温に慣れておらず、冬が慣れろ!、とわんばかりの寒さでやってくる。そんな寒さに遭遇すると、一日中布団の中に隠っていたい。だから街も静かだ。
そうはいっても、アチキは日課にしている夕方の公園で海の風景を描きにでかけた。こんな時こそ面白い風景が描けたりするかもしれない。
それでも小学校は、やっていて(当たり前か)、下校時に小春がやってきた。
小春「今日は、寒いよーーーーーー」
「この間のデートは、どうでした?」
小春「フフフ、ちゃんと映画見て、マックにいって、そのあと金精様にでかけて、夜遅く、お家に帰ったよん。ユウくんが、このコートを格好いいじゃんといってくれた」
「小学生でもなく、大人でもない、そんなスタイルは格好いいよね。金精様にいったということは、ユウ君とセックスしたんだ」
小春「モチ!、ゴム付けてぇー」
「小さな恋の物語は、いいなぁー、うらやましい」
小春「そうお!、あら叔父さん、今日は海の風景じゃなくて、そこの街灯なの?」
「海はもやっていて描けないよ、ほなら身近なモチーフで。寒いから背景は赤にしよう」
小春「随分と手抜きじゃない?」
「街灯だって、美しいさ」
小春「今日、超寒いもんねぇー」
「もう、この辺が限度だ。帰ろうよ!」
小春「そうだね。じゃ、腕くんでゆこうよ」
そういって、小春と腕を組んで坂道をおりた。
もう大人の身体だなぁーと思った。小春の身体は新陳代謝が活発なのか、温かい。
それにユウ君と初体験をしてから、人間に対する好奇心がわいてきたのだろうか、イキイキと弾んだ感じがする、そこが心地よい。
分かれ道で小春が「バイバイ、またねぇー」
そういって小春を見送り、我が家に帰った。
まだ翆は帰ってない。家の中は深閑と冷えている。
ストーブ、ストーブ・・・・。
・・・・・
雨が降りそうで降らず、空気だけが異常に冷たい一日だった。
小樽は、終日、暗い曇天であった。