夜の10時を回ると文さんの店もお客はいなくなる。その頃晃子さんが夜勤前の夕飯で文さんの店に立ち寄るのが定番だ。
晃子「いつものおのろけを聞きたいなぁ!」
文「毎日同じ事の繰り返しだから、そんなにないけどなぁー。最近、健さんが、赤い肌襦袢を買ってくれたぐらいかなぁー。古風な人で、夜は浴衣じゃなくて赤い肌襦袢で寝てくれよ、というわけ。うちは和室だから、お布団に肌襦袢は定番だっていうの」
晃子「映画みたいねぇー。陽暉楼!」
文「その影響かしら。それが色っぽいんだって。アタシを遊女に見立てているのかしら」
晃子「遊女に見立てる。遊郭なんてないのにねぇー(笑)」
文「赤い肌襦袢を少しずつはだけさせて、上からジーと眺めているのよ。それから腿を半分ぐらいはだけてさせて少しずつ愛撫してくるの」
晃子「それって、すごく色っぽくない?」
文「そうかなぁー」
晃子「隠すから、色気を演出できるんじゃない」
文「うーーん、かもね。はだけた赤襦袢の下から指をいれて、アソコを愛撫するのよ。それで、私がウウッーんと身体をそらして燃えるじゃない。呼吸で胸が上下するでしょう。そこが色っぽいらしいの。燃えてくると腰紐をほどいて前をはだけて、健さんの太いアレを入れてきて、そのまま正常位で燃え果ててしまうわけ。なんか話すような内容がないセックスでしょう」
晃子「それってイメージすると、すごく色っぽいよぉー。だってぇー、四十八手なんてサーカスみたいでアホらしくなるよ。それよりか文さんの愛され方って、すごく日本人の美意識!、を感じるけどなぁー」
文「健さんは、『若い女子みたいにパッパッと全部脱いでなんて、お風呂に入るわけじゃあるまいし色気もないんだから』、なんていってんのよ。隠すことで女らしさが際立つんだってぇー」
晃子「文さん、着物でいることが多いから似合うんだよ。隠すことで女の身体も魅力的にみえることを昔の人は気づいていた!、昔の人の美意識かな!」
文「隠す、恥じらい、これかなぁ、オトコの人を虜にするのは!」
晃子「それ、ウキャーーアだよ!!!」
・・・
晃子さんが、そんな夜勤の休息ネタを抱えて、真夜中の病院へでかけた。
鼻が冷たい空気を感じる。
来月は、もっと寒くなる小樽の真夜中。