さて日課の夕方の散策にでかけようか。公園は小春にきちがいよばわりされたから、今日はチクコウのいつものカフェだ。
もちろんここに来ればたまり場となっている美希さんに出会うが。
美希「おじさん、またきたね!」
「ほかに、ゆくところがなくてさ」
美希「小春にきちがい呼ばわりされたから?」
全く兄姉の中で情報伝達が素早いやつらだ。
美希「きいてくれる、私の話。」
「随分聞かされたけど、11人目の彼氏でもできた?」
美希「そうじゃなくて、私、今の彼氏で好いと思っているの」
「ほう!」
美希「だって一太郎兄ちゃんは、勉強家で工業高校で大学の知識まで勉強しちゃったし、会社だって本社からお呼びがかかるでしょう。小太郎兄ちゃんだって優等生よね。その次のアタシは、兄弟の中で一番勉強ができなかったの。それで一番レベルの低い高校に進学したぐらいだからさ。私ってそのことが、心の中でずーっと劣等感になっていたの。だから真面目に恋愛しようなんて考えなかったし、すごい彼氏をみつけて兄姉達を見返そうと思っていたの。たけど初体験で、その彼氏から強姦みたいな事をされちゃっただけだし」
「つまり最初の出会いがなかったわけだ」
美希「そうよ、だからその後男を次々と乗り換えていったの。でも男を乗り換える毎に恋愛感情って少なくなっていく感じなんだな。それでセックスの好奇心の方が増大してくるの。でっ、悟った。セックスの好奇心だけじゃ、相手への思いやりだってないし、生きがいもないしさ、ということに気がついたの。私って、好きになるまえに、なんか回りを見返そうという下心や見栄ばかりがあったんだなぁって気がついたわけ。それじゃ恋人はできないよね」
「ほう、それは興味深い発見ですね」
美希「それで、今の彼氏をずーっと愛してゆくことにしたの。一寸トロイけど、私のなくなりかけている最後の恋愛感情を振り起こして、彼を愛してゆこうと思っているの」
「えっ、意外ですねぇ。これから先ずっと?」
美希「もちろん、ここで切り替えないと、あたしってただのヤリマンになっちゃうよ」
「悟ったわけだ・・・」
「彼氏の名前は?」
美希「直人!」
・・・
そういって直人君がやった来たので、二人で仲良く出ていった。そんな後ろ姿をみていると、美希姉ちゃんがいい女になったようにみえる。