小樽も春から一気に初夏へむかってゆくのか。
翆は日勤だから、既に出勤していった。
静かな空気、うららかな午前中の時間・・、そう思っていたら翆の息子のマサヒロ君がチキンを携えてやってきた。
マサヒロ「お爺ちゃん達、暇だからまたチキンを作っちゃったのよ。なんでこんな時期に・・だよ。今回は、焼きではなく蒸したんだって。焼くと複素環アミンが生成されて人間の遺伝子を傷つけ胃がんや大腸癌のリスクを増大させるから、蒸した方がよいんだってさ。だから蒸し鶏のレモンあえです。ダイエットしているなら、これだっていってた」
「お気遣いありがとうデスです。塩素環アミンか・・・、初めて聞いた言葉だな。じゃあ焼き鶏じゃだめなんだぁー、ところで第二子は元気かい?」
マサヒロ「離乳食の頃ね。お婆ちゃんが手慣れていて、あやしているよ。僕これから仕事ね・・・」
そういって蒸し鶏を残して去っていった。
さて、描きためたスケッチの着彩でもして・・・
木々や花々が一斉に芽吹く。そうありたいという思いが筆を滑らせる。
冬の反動か・・・。
夕方チクコウのカフェにゆく。
相変わらず美希姉ちゃん達が、たむろしている。
「ああっ、高校3年生になったのね」
美希「そうよ、高校を卒業したら札幌の写真学校へゆくの、それで戦場カメラマンかなぁー」
直人「おおよ!、もっと平和な道にいってよぉーー」
「直人君は大学受験かい?」
直人「札幌市の芸大ですね・・・」
美希「それで受験準備でデッサンなんかやってるの」
「まあそうなるよねぇー。ところで美希姉ちゃんはデッサンをやったっけ?」
美希「うん、だってうちのパパが美術の先生だもん。いつの間にか覚えちゃったからねぇー、今はデッサンも卒業だよん〜〜」
直人「男も卒業?」
美希「アホ!(笑)、オジサン一緒に帰ろうよ」
そういって広い道をわたり、量販店を横目に見ながら、3人でナンタルの坂道をあがっていった。
コロナの冬を抜けて、いつもの時間が戻ってくるようだ。
外出自粛といっても、今年は雪が多かったから外出する気分ではなかった。
さて、帰る頃には・・・・、アッ今日はエアロビの日だった。スポーツ教室で翆と待ち合わせて、エアロビクスで汗をかいた後、文さんの店へゆく予定だった。ひさしぶりに、いつもの小樽時間が戻ってきた。
・・・
小樽も陽が長くなってきた。