Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ドローイング444. 小説:小樽の翆373. コード・ブルー

2021年06月03日 | Sensual novel

 

 さてあと30分もすれば、仕事は終わりだな。そういって翆は引き継ぎ事項の書類を書いていた。

突然ナースステーションのホットラインが鳴り、「コード・ブルー、患者は循環器系、10分以内に到着!」

するとナースステーションが慌ただしくなり、循環器系の先生が駆けつけ「翆さーーん、てつだってぇー」。

それでホルター心電計とAEDを持ってストレッチャーを引き最上階へあがる。

そこににはストレッチャー毎運べる昇降機で屋上のヘリポートへ。

救急外来の医者や看護師が建ち並んでいる。

・・・

夕凪というべきか、昼の風がおさまり冷たい空気が身体をさす。

翆「ここは、回りに柵がないから、このまま吹きどばされそうで怖いよなぁー」

やがて南の方角から爆音が聞こえてくる。

ドクターヘリだ!!!。

やがてローターの旋風を巻き起こしながら、意外に大きい機体がヘリポートに着陸する。

まもなく患者を乗せた担架が運ばれてくる。

フライトドクターがうちの先生に容態を書いた診断書を渡して説明している。

その間に翆が患者の身体に機器のコードをつけてゆく。

翆「ああっ、2時間以内の救命救急か・・」

患者をストレッチャーに乗せてICUだな。

フライトドクターがもどりしなに、翆のネームプレートに眼をやった。

フライトドクター「君、晃子さんの友達だったかな?、であれば感染病棟の彼女によろしく!!!」

そういってヘリに戻り、飛び立っていった。

かっこよすぎて呆然!。

・・・

患者をICUに送り込んで引き継ぎを終え、晃子さんがいる感染病棟のナースに立ち寄ったら・・・

晃子「さっきの爆音がそうだったのかぁー」

翆「かっこよかったよーーー」

晃子「だって彼、それが生きがいだもん。なんかさあ三ヶ月前からドクター・ヘリ勤務になったんだって。今週は勤務当番だから、くるよねぇー。多分札幌市内の気象状況が悪かったとか、時間節約かなぁー」

翆「うん、2時間以内の搬送だって」

晃子「運ぶだけだよ、直すのは病院だからねぇー。彼は、緊急事態になると燃えるんだっていってた。それで奥さんに愛想をつかされて離婚されたぐらいだから。そうした変わり者でなきゃ救命救急なんかやらいなよねぇー。そうだ翆!、フライトナースというのもあるよーーーー」。

翆「やだぁーーん、聞くからに大変そうじゃん」(笑)。

翆が家に帰る頃には、長い筈の陽も落ちて、すっかり暗くなってしまった

・・・

透き通った空に星が見える小樽である。

コメント
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