翠は夜勤だ。深夜の休み時間に晃子さんがやってきた。
晃子「翠ーーーー、面白いネタを仕入れたよん。ボッキマン。先生ではなく看護師のあのボッキマンよー」
翠「ああ工学系の大学を出て看護師になんったという彼ね!」
晃子「そう、そのボッキマンが暗い顔してトシコさんと悩み事の相談していたの。おもわず耳ラッパしちゃったよ」
翠「あらトシコさんって夏は山女で冬はスキーをやる日焼けしたスポーツウーマンだよね。メカニックマニアで工学系のボッキマンと性格が逆だけど、仲が良かったんだぁー」
晃子「しかも、だってトシコさんは彼より一回り歳上だよね。でねっ、こんな話!」
ボッキマン『僕さあ、いい女の子をつくろうと思って看護師になったじゃん。それでスポーツクラブに通ってウェイトトレーニングで美体型を目指して効果も出てきたのよ。でも感染症の流行でスポーツクラブは閉鎖、それだけじゃないよ、最近うちの科は重傷者の看護で忙しくて、楽しみにしていたお食事会もなくなったし、というか禁止命令だよね。せっかく体を鍛えたのに、親しくなった看護師さんを食事にも誘えないし、お店はやってないし・・・、なんだよ!、これ!!、そしたらその先がないじゃん。こんなんじゃ女の子と出会えないよ。鍛えたボディをもてあましているのよ』
トシコさん『しょうがないじゃん、みんな自粛なんだから。あっそうか、抜いてあげようか?』
ボッキマン『さんざん自分で抜いたけど満足できないっす!!』
トシコさん『そうねえ、普段だったら男と女の恋物語で盛り上がっていたのにねぇー』
ボッキマン『トシコさん、しようよ! 、させて!!、お願い!!!』
トシコさん『私ってボッキマンより年上だよ!、いいの?』
ボッキマン『もうなんでもいいさ、僕、もう看護師めようかなぁー』
トシコさん『えっ、だってボッキマンがいないとECMOが動かないよ』
ボッキマン『僕もう、そんなのどうでもいいですぅー。まわりから頑張れとか感謝とかいわれたって何も感じないもん。いわれなくたって頑張ってるのにさ。頑張ってるからご褒美くれよ!、といいたいなぁー』
トシコさん『ご褒美かぁー』
ボッキマン『もう股間が破裂しそうだよ。トシコさーーん、夜勤が終わったらしようよ。お願い!!。助けてぇー!!!。もう何でもトシコさんの言うこと聞くからさぁー、しようよ!!!!!!!!』
トシコさん『うーーん、一肌脱ぐかぁー』
晃子「そういって、勤務が終わったらボッキマンとトシコさんが一緒に帰っていったんだ」
翠「この際だから、相手は誰でもいいって感じだよね」
晃子「でね、翌日ボッマンが出勤してきたら、1枚むけた顔してスキップして病棟へゆくんだよ」
翠「それでカップルになっちゃったんだ」
晃子「一丁上がりって感じね。姉さん女房だって」
翠「トシコさん、面倒見がいいから似合ってるカモよ」
晃子「若い男女って、オキトキシンがたっぷり出ているからさ、職場の飲み会などで打ち解けて仲良くなるじゃん。それから居酒屋にいって、彼女の部屋にいって、一発やって、カップル成立。そのままゆけばゴールインだよね。ところが今は人と人とが接触するな!、でしょう。宴会自粛、集まるな、居酒屋は早く閉まっちゃう、それで男と女の出会いの場がなくなっちゃったもんね。それでいてさあ、頑張れってまわりからいわれても、うるさくて嫌気がさすよねぇー。そうでなくてもリスキーな仕事をしていてストレス高いのにねぇー」
翠「可哀想なボッキマンだね。そなんわけで若い人たちの職場は大変らしいよ」
晃子「感染症の専門家は、男と女の出会いまでは関心がないからねぇー」
翠「今度トシコさんに聞いてみようよ!」
晃子「それ、楽しみ。日勤あけに文さんのお店でご飯だね。目下ご飯しかださないってさ」
翠「健さんのビーフの燻製でご飯もいいか・・・」