静まりかえった小樽の街の夜のテーマはなんだろうと考えていた。
コロナ過で店は閉じていて灯りが消えていても街灯がついている。
それは、つまり点光源だ。
商店の光が連続してつながれば見慣れた街の風景だが、それが点在している。
これが今の小樽の夜の風景か。
点光源が独立して存在していたり、点在が連続して奥行きをみせたり、芝居のスポットライトのようでもあり街の風景として面白い。
早々と店を閉じたなかにも、ここは人間の住処だといわんばかりの点光源もあるし、窓から漏れる生活の灯りも点光源的である。
点光源に露出を合わせると、というかカメラのレンズを向けるだけだが、それだけで周囲の風景を漆黒の闇の中に隠してくれる。ニコンF3の露出計は、スポット測光のようでもある。
次々と現れる点光源に誘われて、寒波が吹雪く街を足早に通り過ぎた。
2021年2月28日-3月2日、小樽市
NikonF3HP+MD4,Carl Zeiss PlanarT*50mm/F1.4ZF2、Tri-X
フィルム現像:写真弘社