フィルムカメラを使った事がない世代もいるので、書いておこう。
+3というのは、フイルム現像する際の現像時間の延長指示を意味する。
つまりISO400のフィルムをISO3200で感度3段階分の増感現像になる。
その増感現像をおこなった画像をアップさせてみた。
トップの画像は、フィルムの粒子が綺麗に出ており、これはPhotoshopの粒子設定では難しい。
ここまで粒子がでれば申し分ないフィルム画像だ。
それにしても見慣れた風景でも撮ってみれば、明治の建築家片山東熊の建築も絵になるじゃん。
片山は赤坂の迎賓館を始め数多くの設計をしているが、私はあのモロにフランスバロック様式のコピーは好きになれませんな。
だから私は、工部大学校時代同期の辰野金吾のデザインの方が好きだけどね。
大体田舎者は、金チャンのデザインをこけおろすんですよ。でっ片山のもったいぶったバロック様式!、なんて騒いでいるわけよ。
田舎者の憧れ片山、田舎者がこけおろす金ちゃん。その金チャンのデザインが私好みというわけです。
そんな風に近代の建築様式のデザインを肴にして茶飲み話をするなんざぁー、粋だと思いますけどねぇー。
だって建築を勉強してなきゃ、そして実物を数多く見てなきゃ、話ができませんからね。
それにしても、突然明治の初めに建築家が忽然と出現したのだろうか?。
おそらく彼らの先生であるジョサイア・コンドルがイギリスから建築様式の本を大量に持ってきて・・・、
「お前達武士は感性などないのだから、この図面を模写しろ、それが建築だ!」
そんな風に教えたのかもしれないと推測している。
でっ、あればコンドルが持ち込んできた書籍に、片山らのデザインの元があるはずだが・・・。
そんな文献類が東大の書庫を探ればあるのかなあ??。
2番目の画像は、薄暮の頃だから屋外と屋内とに露出が合っている。
ということは中央部重点測光のニコンF3の露出計は限りなくスポット測光に近いのだろう。
3番目の画像は、絞りは開放だったかもしれないからピントが合っていないか手振れなのだろう。
フィルムだからこれ以上は絞れませんので、全てにピントを合わせたければ三脚を立てる必要がある。
そうすると大変美しく撮れますが、花見小路で三脚は立てさせてくれないですね。
4番目の画像は、増感現像をするとコントラストが高くなるから、余計なモノを漆黒の闇に隠してくれる。
これがトライ-Xの素晴らしいところだ。
もちろんデジタル機材でも露出計をスポット測光にして提灯だけに露出を合わせればできそうだけど、そうなると周囲が潰れすぎる。
白黒をハッキリさせてしまうのがデジタル機材だ。
物事の白黒を明白にしたくない向きにはフィルムがオススメ。
5番目の画像は、昼間撮れば荒れた画像となり面白い。デジタルだと物事が明白に写りすぎる。
こちらは、明白な画像である必要はなく万事あいまいに・・・。
フォトグラファーでいえば、森山大道さんや中平卓馬だろうか。
そうした撮影方法や考え方が今では、一つの表現様式になってしまった。
様式であれば、時には試みてみるのも一興。
2021年1月〜2月 京都市
NikonF3HD+MD4,Carl Zeiss PlanerT*50mm/F1.4ZF2、Tri-X
現像:写真弘社