Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ドローイング456. 小説:小樽の翆385. 悶々とした寸止め社会

2021年06月25日 | Sensual novel

 

 文さんがふと「寸止め社会か!」とつぶやいた。

文「あら、ゴメン聞くとはなしに聞いちゃったぁー」

晃子「あら聞こえちゃうよね」

文「だってぇー、以前ナンタルでお店やってるお友達の居酒屋さんにいったの。それでお客さんの話が聞こえてきて思い当たる節があったのよ」

晃子「あら、何それ?」

文「先日お友達のお店に、初めてのお客さんが2人で来て、でっ、職業がエアラインのパイロットとキャビンアテンダントさんだったの」

翠「それ、興味深い」

文「なんでもいつもは仲の良いクルー達が、仕事が終わるとお食事会を札幌でしていたんだって。それがコロナ過で、大人数のお食事会、宴会は自粛するようにと会社からの通達があったんだってさ」

晃子「あっ、小樽でこっそりとデートなんだ」

文「そうなのよ。そんな商売の人って先ず小樽には来ないじゃない」

翠「えっ、それから・・・?」

文「お酒が回ってきた頃、若いキャビンアテンダントさんが酔った勢いで、『キャプテン!、出会いが全然ないよぉー!!、男ができないよぉー!!!、そればかりじゃないよ。女の子同士でさえ、お酒飲んで恋の話をすることもできないよ!!!!。こんなつまんないのいつまで続けるんだよーーー。もうこの商売辞めたいですぅー』ってキャプテンにからんでいたの。でね、『キャプテンでいいや、奥さんからもぎどったろー・・』だって」

晃子『おっ、ご立派!』

文「だってえキャビンアテンダントさんは、仕事覚えてようやく周囲を見渡せる余裕ができたじゃん。だから一番華やいで楽しくて充実の時間のはずだったのよ。そしたら出会いは御法度、居酒屋の宴会もダメ、挙げ句の果てに人と人とは接触するなでしょう。みていて可哀想だなって思った。でね・・・

『キャプテンの奥さんは子供が二人いるじゃん。もう学校に行っているから手間はかからないじゃん。だから奥さんはもう女の役目を果たしたし幸せも得たでしょ。だから今度は私の番よ。奥さんと別れて、私と結婚しようよ。若い方が絶対いいじゃん。もう一回青春しよう!。そいでさ、また子供二人ぐらいつくろうよ。私子宮も卵巣も健康だって医者から言われたもん。でっ、キャプテンが起たなくなったら別れてあげる・・・

そしたらキャプテンが『別れたら慰謝料がいるじゃん、二度も離婚させられるわけ!!!』

『けちねぇー、そんなの奥さんにさっさと払っちゃえばいいじゃん。そのために高い給料もらってんでしょ!。えっ!、私、もちろん頂戴ね』

そしたら『私じゃ愛せないないっていうのかな?。愛なんて嘘よ。男と女はセックスよ。今日やろ!

そういっててでいった」

翠「その先は、どうなったんだろうね?」

文「きっとできてたらまた来るよ。次回のお楽しみね。札幌じゃ人目があるから、ナンタルで遊ぶんじゃないかなぁー。そんなことをうちの健さんにいったら、今は寸止め社会なんだって。だって性欲が一杯あって出会いの場がない若い男女が多いじゃない。やりたいけど、できない。出す直前にジッと止めて意気消沈して萎える社会だって」

翠「なんか医者のいうことに従っていると、つまんない社会だねぇー」

晃子「トシコさん、ボッキマンを捕まえたから、今がチャンスよ。美味しい料理食べさせてさぁ、子供作っちゃえばいいのよ!」

翠「あっ、それいいね!」(笑)

トシコさん「子供かぁー。精子一杯増産するボッキマンならすぐできちゃうよねぇー。やっちまおうかな!!」

・・・

小樽の夜も晴天。

天気のようにすかっと晴れない男と女の悶々とした時間がすぎてゆく。

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