花園の画材屋を物色していると、明菜姉ちゃんがやってきた。
いつも定例の時刻に現れるな。
明菜「今日はパフェじゃないの。これ届けるの!」
「なんだね、その紙包みは?」
明菜「これ届けるの!、パパリンセット!」
「パパがどうかしたって!」
明菜「今日は、パパの誕生日なの。それでぇー、スカーフのプレゼントなの。これからパパの小学校の準備室においてくるの。アチキもこない」
「うん、いいよ」
明菜「パパは今日は研修で夕方にならないと学校に戻らないの。その間に机においておこうというわけ」
「ふぅーーん、」
そういって明菜姉ちゃんは、パパに届け物ですぅーといって警備室を通過し校舎にはいっていった。
・・・
「ここがぁ、君たちやマサヒロ君が育った小学校かぁー」
校舎はいかにも使い切ってきたという空気が漂い、パパの美術準備室も主の色に部屋が染まっているようで、どこか居心地のよさそうな空間だ。
明菜「さあプレゼントはデスクにおいた。早くずらかろう」
「うちで渡せるのにー、不思議な行動ですねぇー」
明菜「だって今日は夜まで公募展の搬入があるから、家に帰るのは夜遅くなの。それじゃ後出しじゃんけんみたいで盛り上がりに欠けるじゃん」
「ということは、みんなプレゼントを用意しているんだ?」
明菜「そうよ、玲香姉ちゃんはジャケスラでしょう。一太郎兄ちゃんはスニーカー。美希姉ちゃんがシャツ、東京にいる小太郎兄ちゃんはユニクロのベルトを送ってきたの。翼はダイビングの小さなポーチでしょう、でっ、心春はハンカチだって」
「一応お出かけセットじゃん」
明菜「パパの洋服からこっそり寸法をとったの。一番要領がいい美希姉ちゃんが全部寸法を調べたの。それで美希姉ちゃんと札幌のユニクロにいって、みんなで相談してコーデしたの。だからパパが全部身につけるとバッチリ決まるはずぅー。パパリンセットの完成ですぅー」
「まあ7人のおこたちの素晴らしいプレゼントじゃん・・、パパは感激して泣きそう(*^▽^*)」
明菜「なかないわ。苦笑いよ。毎年こんなことをしているの」
そういって明菜姉ちゃんは、公募展の搬入の準備のために高校へ戻っていった。
すがすがしい一時だった。
・・・
小樽も秋の真っ赤な夕焼けが広がってきた。