海のスケッチ帰りに、ナンタルの奥まったところにある小さなカフェスタンドの前を通ったら、大きなカルトンを抱えたツカモッチャン家の一太郎兄ちゃんがお茶している。
「おっ、こんな時間に珍しいね。あっ、上さんの出産なんだ」
一太郎「うん、そこの病院の産婦人科へ駆け込んだけど、まだまだよと看護師さんに言われて」
「ああッそれねぇー、そこの病院というと狸爺のところか?」
一太郎「あっ、あの年配の先生のこと!」
「まあ、それ。多分熱心に看護してくれると思うなぁー・・・」
狸爺は、女の股間の陰相学にこっているから、綺麗な優子さんの陰相を眺めながら人生の喜びを感じているだろう。
そもそも顔立ちと陰とは全く関係性がないところが、興味津々らしいということはわかるが・・・・。どこか生物的な世界だよな。
といって出産は病気じゃないから、まあ医者はそばにいるだけなんだけど。それでも狸爺は、産むまでは帰らないというのが、みあげた医者根性と世間は評価してくれるが、美人の陰相だからねぇー、関心の持ち方がちがうよなぁー。まあ、その話はおいといて・・・・。
一太郎「ママが夕方やってきて、みているから、時間をもてあましてさ」
「今日は翠も夜勤だからいるよ。ベテラン揃いか、つまりこんな時に男は何もすることないよ。こいうい時間ってすごく暇でしょう?」
一太郎「それをいったら人生の一大事に、暇とはなんですか・・、とママに言われたけどやっぱ暇」
「そのカルトンはデザインスケッチが入っているな?。披露してちょうよ!」
一太郎「目下次のクルマのデザインを考えているところ。デザイン部署じゃないからCADはないけど、スケッチなら簡単に描けるので・・・」
・・・
ほどよい気候で、屋外のカフェスタントで出産を控えた奥さんの亭主とアチキがクルマのデザインスケッチを眺めている。狸爺は陰相にこだわり、うちらはクルマのデザインにこだわっている。どちらもオブジェクトだけど、女と機械の違いぐらいはあるか・・・。
こんなとき、男ってほんまに手持ち無沙汰というやつだろう。
ほどよい気候の夜になってきた。生まれるのは朝だろうか・・・・。
・・・
小樽の薄暮の街の灯りが眩しい。