Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ドローイング510. 小説:小樽の翆438. 簡単な話なのだ

2021年10月03日 | Sensual novel

 

 さて森の次は海か。

小樽は山が海岸に近いのでどちらもモチーフにすることができる。

そんなわけでチクコウのカフェに陣取り、眼前に広がる港の風景。

いろんなヨットが出入りしているので、よりどりみどりで描けるという便利な場所だ。

描き上がる頃には夕方だ。

身元で「どこの風景を描いてるんだぁー?」

常連の美希姉ちゃんの声が聞こえる。

やはりやってきたか。

美希「最近ここから描くなんて珍しいじゃん」

「そうだったかぁー。慌てて夏の終わりを描き止めている。ところで、どうおよ、撮影のバイトは?」

美希「前にうちの高校生達の妊娠が盛んだっていったでしょう。

つまりアタシと一発やってくださいというわけよ。

だから私も、私もで妊娠して、それで思い出に撮ってぇーというのが多いワケ。

同級生達だからお金取れないじゃん、毎日ボランティアだよーーーん。

でね、なかには同時にやっちゃったから、どっちの種だかわかんないという女子がいるのよ。

それも優秀な男子とスポーツ系のアホな男子よ」

「生まれてくればわかるんじゃないかなぁー!」

美希「生まれてから、アホだったら、最悪ーーじゃん」

「ハハハッ、その時はあきらめるんだなぁー、いいじゃんスポーツ選手にしたら名前があがるかもよ」

美希「まあ20年後だからいいかぁーー、そういう女子もいるんだ・・・。

あたしに相談されても疲れるぅー(*^▽^*)」

直人君がやってきた。

「ビッグマックかなぁー?」

直人「はい、ごちになりますぅー・・・、ああ!、その話ですか・・・。

妊娠した女の子同士で仲が良いみたいですよ。

それで情報交換しながら、結構一緒にいることが多いんですよ」

「そりゃ子供が生まれたら、お母さん同士じゃん。

そのまま続くんだよ。仲の良いお友達同士が、多分一生ね」

直人「こんなのもいるんですよ。

『○○君、大学に行ったらちゃんと小樽に帰ってくるんだヨーーん。その間、ママ達と育てておくからねぇー』という縛りつけタイプとか、

子供産んだら大学へゆこうという進学タイプとか、

そうだ、美希姉ちゃんとこの玲香姉ちゃんみたいに看護師を目指すナースタイプ、

種をもらった男子は捨てて次を捜そうという割り切りタイプとか・・・。

だって今の男子は人がいいから子供がいても、惚れさせたらなんでもいうことを聞くからだって。

それで高校の進路指導の先生なんか、『どうすりゃいいのさ。そんな進路相談はしたことがない!!』といって、大学案内を転がしながら悩んでいるよ」

「つまり健全な高校生活ですねぇー、案外高校生のうちに子供をつくっちゃうと、将来仕事と家庭のどっちを選ぶかで悩む必要がないもんね。

それに孫の顔を見たがっている親たちへの最大の親孝行だ」

(*^▽^*)

美希「そうよ、それが男女共同参加型社会じゃないのぉー」

「そりゃ、そうだ。高校に母乳をあげる育児室でもつくるんですかねぇー」

美希「保健室を育児室にすればいいんだ。簡単じゃん」

たしかに男と女の関係は、社会の上位概念である生物のカテゴリーにおいては簡単な話なのだ。

空が茜色に染まってきた。

・・・

3人でナンタルの坂道を登りながら、背後に薄暮の街が広がっている。

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