さて芸術の秋などといわれても、デザイナーのアチキには縁がない。
秋の公募展に作品を出品して発表する季節だが、作品は冬頃描いているからアーティストにとって秋の実感はなさそうだ。
そんなわけで、こちらも水彩紙に絵具を転ばせてみるぐらいしか芸がない。
そんなことをしていると絵具が足りなくなってくる。
頃合いを見計らって画材屋だな。
頃合いというのは、明菜姉ちゃんが画材屋でたむろしている頃合いだが。
明菜「やっぱ、来るじゃん」
「隣のコロンビアでフルーツパフェだろ!」
明菜「あら葉書を抱えてらぁー」
「芸術の秋になると個展の案内が沢山届くのよ。それで返事を出さないのも不義理だから、『遠来で成功を祈念して』とか書いて返事ぐらいはだすの。それでイラストのまとめ書き」
明菜「その魚はなぁーーに、小樽で見かけいないなぁー」
「一番上がイラブチャー、二番目がミミジャー、下がゴンベの一種かな」
明菜「全然知らない魚ばかり」
「沖縄の魚だもん。あっちの方が色が綺麗だし・・・」
明菜「ハァッ!」
「それで葉書をもらった方は、沖縄にいるから来られないんだと勝手に解釈してくれるよ。それでええんちゃう!、誤解の連鎖で。沖縄とは書いてないけどねぇー」
明菜「誤解は解かないの?」
「解かないよ!!、先方の考えたいようにほかしておく」
明菜「むっせきにん!!!」
「他人は、自分の考えたいように考えて納得する動物だよ。それが事実と合っているかなんて考えもしないよ。先方もむっせきにんさ。人間は、シェークスピア以来の誤解と勘違いの好きな動物だからね」
明菜「あのぅーー・・・、アチキー、祈念という字が違ってるよー!」
「アチャー、描き直しじゃん!!!」
なんとも、誤解と勘違いの連鎖で、しまらない1日だった。
・・・
小樽も秋!