Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ドローイング584. 小説:小樽の翆510. 年度初めはローストチキン

2022年04月01日 | Sensual novel

 

 階下で玄関のドアがあく音がする。

「おはようございます!」

朝の光の中を翠の息子のマサヒロ君がやってきた。

階下に下りてゆくと、ジュニアの腕がマサヒロ君の首に回り前にぶらさがっている。

マサヒロ「はい!、これおじいちゃん達が焼いたローストチキンのお裾分けですぅー。つかモッチャン先生のところに届けてきたんだ。コロナでみんなで集まってパーティーが開けなかったからせめてローストチキンでも届けろ!、おじいちゃん達がいうものだから。みんな次のステージに進んだからお祝いだってさ」

「オオッ!、春の予感がやってきた。次のステージちゅうと・・・」

マサヒロ「一太郎君は子育てに没頭。小太郎君は防衛大に進学。ついでに彼女は美大に進学。美希姉ちゃんは札幌の専門学校で映像の勉強、ちなみに彼氏は市立芸大に進学、明菜姉ちゃんは花の17歳で美大にゆくんだって。翼君は水産高校で小型船舶免許をとったので次はダイバーを目指すんだって、あと誰だったっけ?」

「アチキが絵を描いている時にやってくる小春は知ってるよ。婚約したんだって」

マサヒロ「あっ、そうだったか・・・」

「みんな次のステージに進んだようですね」

マサヒロ「今年は、雪が多かったから、みんな籠もっていました」

「そういや、君のところの第二子は?」

マサヒロ「上さんのお腹も大きくなってきたので、高校を休学しています」

「出産が近いのか・・・」

マサヒロ「もうじきだけど、身体が空いたときに高校へいってます」

「時間のあるときにゆくなんざあ、素晴らしい高校生活じゃん」

マサヒロ「子供産み育てながら通学していると、そうなります!」

「玲香姉ちゃんとこみたいに、家で産むの?」

マサヒロ「翠さんとこの病院ですぅーー」

「まあな、産婆さんを担いでこなくていいよなぁー・・・」

(*^▽^*)

マサヒロ「玲香さんとこは初産だから突然来たじゃん。産婆さん、太っているから重たかったよぉー。うちは二番目だし先生も安産ですねぇー、だって」

「上さんは高校生で、既に2番目の子供ができて安産かぁー」

マサヒロ「おじいちゃん達が、何でも早いほうが吉だというので・・・」

そういってローストチキンを食卓において、マサヒロ君は仕事場に向かった。

朝つくったのかまだ暖かい。これをフランスパンに挟んで朝食だな。

ローストチキンサンド、それに夕べのポタージュスープが残っていた。

あとは珈琲をいれて、アチキの遅い朝飯。

今日は山へスケッチにでかけようか・・・。

4月の始まりは、ユルユルと動き出す。

小樽の街も春と呼ぶには、まだ寒いけど家の周りは雪がほとんどない。

街の風景は、冬の豪雪で汚れきったようで見苦しいけど、山は、まだ雪が残っているだろう。

午後から山へスケッチだな。

コメント
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