階下で玄関のドアがあく音がする。
「おはようございます!」
朝の光の中を翠の息子のマサヒロ君がやってきた。
階下に下りてゆくと、ジュニアの腕がマサヒロ君の首に回り前にぶらさがっている。
マサヒロ「はい!、これおじいちゃん達が焼いたローストチキンのお裾分けですぅー。つかモッチャン先生のところに届けてきたんだ。コロナでみんなで集まってパーティーが開けなかったからせめてローストチキンでも届けろ!、おじいちゃん達がいうものだから。みんな次のステージに進んだからお祝いだってさ」
「オオッ!、春の予感がやってきた。次のステージちゅうと・・・」
マサヒロ「一太郎君は子育てに没頭。小太郎君は防衛大に進学。ついでに彼女は美大に進学。美希姉ちゃんは札幌の専門学校で映像の勉強、ちなみに彼氏は市立芸大に進学、明菜姉ちゃんは花の17歳で美大にゆくんだって。翼君は水産高校で小型船舶免許をとったので次はダイバーを目指すんだって、あと誰だったっけ?」
「アチキが絵を描いている時にやってくる小春は知ってるよ。婚約したんだって」
マサヒロ「あっ、そうだったか・・・」
「みんな次のステージに進んだようですね」
マサヒロ「今年は、雪が多かったから、みんな籠もっていました」
「そういや、君のところの第二子は?」
マサヒロ「上さんのお腹も大きくなってきたので、高校を休学しています」
「出産が近いのか・・・」
マサヒロ「もうじきだけど、身体が空いたときに高校へいってます」
「時間のあるときにゆくなんざあ、素晴らしい高校生活じゃん」
マサヒロ「子供産み育てながら通学していると、そうなります!」
「玲香姉ちゃんとこみたいに、家で産むの?」
マサヒロ「翠さんとこの病院ですぅーー」
「まあな、産婆さんを担いでこなくていいよなぁー・・・」
(*^▽^*)
マサヒロ「玲香さんとこは初産だから突然来たじゃん。産婆さん、太っているから重たかったよぉー。うちは二番目だし先生も安産ですねぇー、だって」
「上さんは高校生で、既に2番目の子供ができて安産かぁー」
マサヒロ「おじいちゃん達が、何でも早いほうが吉だというので・・・」
そういってローストチキンを食卓において、マサヒロ君は仕事場に向かった。
朝つくったのかまだ暖かい。これをフランスパンに挟んで朝食だな。
ローストチキンサンド、それに夕べのポタージュスープが残っていた。
あとは珈琲をいれて、アチキの遅い朝飯。
今日は山へスケッチにでかけようか・・・。
4月の始まりは、ユルユルと動き出す。
小樽の街も春と呼ぶには、まだ寒いけど家の周りは雪がほとんどない。
街の風景は、冬の豪雪で汚れきったようで見苦しいけど、山は、まだ雪が残っているだろう。
午後から山へスケッチだな。