Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ドローイング587. 小説:小樽の翆513. フィリピンの家

2022年04月04日 | Sensual novel

 

 「榊原さんの最近の関心事はなんですか?」

榊原「よくぞ聞いてくれました。これですよ!」

そういってスマホの画像を見せてくれた。

ベーヤン「なにこれ、下が定食屋で上が住まい。建築家にしてはつまんないものに関心を持つよなぁー」

榊原「これ、私達のフィリピンの家なんですよ」

「えっ、自邸」

榊原「自邸なんてそんな格好が良いものではないですよ。ジーナが今度はレストランを始めたいというから、えっ、あの場所でと私は思ったけど、まさに定食屋ですよ」

「レストランも翻訳すれば定食屋でしょう」

榊原「うん、それでジーナは定食屋の女将さんですよ」

ジーナ「なんですか・・・、お・か・み・さ・ん?」

べーやん「レストランで一番偉い人という意味です」

ジーナ「Oo、shige!」

「またなんで、エアロビクスの先生が、定食屋なんですか?」

榊原「将来安定した職業が欲しいというので。定食屋だって安定するわじゃないけど、近所の人のたまり場にもなるでしょう、というわけです」

ベーヤン「それで設計しちゃったわけだ」

榊原「その前に土地を買わされました」

ベーヤン「土地はなんぼすんの?」

榊原「沿道沿いだと㎡単価が5,500pisoぐらい。それで100㎡だから55万piso、日本円で140万ぐらいかな。それに固定資産税、付加価値税、印紙税がついて結局643,000piso。日本円で150万ぐらいかな。マニラだったらもっと高いけど、ここは郊外の田舎だからこんなもんです」

「建築工事費は?」

榊原「そこはピンキリなのよ。100万ぐらいでできるという説もあるし、いや1,000万はかかるという説もあるから、私の監理次第ですね。500万ぐらいであがればいいかなと思っている」

ベーヤン「老後を考えたら必要なんだ」

榊原「😆、私は既に老後ですよ。ジーナは後に残されるから、まあ自活の道をつくっておかないとね」

ジーナ「ダーリン、早くお家ねぇー!」

榊原「わかった、わかった!」

そんなたわいない話をしていると、夜だ。山の雪原が周りの灯りで白く輝いている。

すでに街の中からは雪がほとんど消え去ったようだ。

コメント
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