シンシンと降り続く雪で遠景は見えない。美国小泊に来ても宝島の姿が見えないほどだ。だから定番の撮影ポイントへゆくのはやめた。カモメのうるさい鳴き声を聞きながら、海岸沿いを抜けて茶津トンネルの先にゆこう。そう考えられるほど、美国の集落は小さい。
さらにいえば小樽の街にこだわり続けるのも、歩いて回るのに街の大きさがほどよい事があげられる。そもそも主なところは歩いて回れる。しばらくバスに乗ろうものなら郊外へ出てしまうほどの規模だ。そんな小さな街の中に明治以来、道内屈指の街として隆盛を極め、石炭流通の港、そして鰊漁で財をなし・・・、といった具合に往事の盛んだった痕跡を今に留めている。現在小樽市指定歴史建造物は85件あり、今なお明治大正の頃の片鱗を十分に残している。
北海道は広い。そんな中にあって小さな空間に箱庭のように詰め込まれた世界が、小樽・積丹だろう。私が足繁く訪れるのも、そうした箱庭的魅力がこのエリアにはあるのだろう。確かに積丹半島美国まで小樽駅前から1時間半とはかからない。
そんなことを体で感じていると、次第に研究論文のテーマを思いつく。そんなわけで図書館と博物館に足繁く通い、興味深い資料を発見したりできる。明治以来、発展してきた街だから、そうした蓄積が残っていても不思議ではない。
594 美国小泊
トップ画像及び映像
α6600,E18-135mm/F3.5-5.6