元カープの衣笠祥雄選手が亡くなった。天性の運動神経の俊敏さが脳裏に焼き付いている。昭和43年9月、広島球場で江夏の投げた球をレフトスタンドにホームラン。その球をキャッチしようとしたが、はじき手に入れることができなかった。平成10年2月、阪神の安芸キャンプに行ったときに、衣笠解説者に「カープと阪神の選手の違いは何ですか?」と問いかけ、「練習量とハングリーさの違いがあるね」と優しく教えていただき、色紙にサインをいただいたことが今でも、瞼に浮かぶ。野球解説においては、技術的なことに加えて、精神面を分かり易く伝えようとする思いがあふれており、素晴らしかった。社会一般の事件や問題などにも、積極的に優しいまなざしで発言した場面も何度も見てきた。生まれながらに自らが背負った運命からそれに負けずに力強く生きようとするエネルギーは、アスリートとしても、1社会人としても立派な人物であり、まさに国民栄誉賞にふさわしい。ご冥福をお祈りいたします。