甲南大学名誉教授、田中修先生の『植物の話』を聴いた。京都弁の語りに魅了され、また先生の出版物を読んでみたくなる。人間と比べて、植物の生き方は、知れば知るほど感服してしまう。4700年も生きる樹木、根の方は、8万年も生命が宿る。世界に3兆400億も木々があるらしい。この数字算出も大変興味を抱いた。地球上の航空写真を撮って、緑の濃い部分、薄い部分について実際に数えて(40万か所)、航空写真の色と合わせてコンピュータで計算するという。コロナ禍対策の最も効果がある、3密を避けることも、植物はもともと生き方がそうである。『喋らない、移動しない、木と木に距離を置く』を苦笑しながら納得した。そして自給自足。水と太陽光とCO2があれば。成長できる。いやぁ、肥料やっているじゃないかという疑問に対しては、人間が速く成長させたいなどという勝手な欲求なのであるという先生の言葉がほろっとさせる。世の中の現象の背景や理由がわかると、なぜか元気が出てくる。わからないのは、権力・暴力で生き伸びようとする人類である。