22日㈪、朝から京都へ。12時半から議員団会議、午後は本会議の一般質問。終了後、予算特別委員会の全体会に出席した。帰りに沓掛インターに乗るまで大渋滞していた。
自民党府議団で《本府(ほんぷ)》が話題となった。
《本府》が指すものには、①地域としての京都府 ②行政組織としての京都府 の2つの意味があると思われるが、府議会で知事はじめ理事者が発言する場合は、②の「行政組織としての京都府」を指している場合が多い。
われわれ京都府議会議員は京都府民であり「地域としての京都府」に属しているが、「行政組織としての京都府」の一員ではないので、《本府》と発言するのは「二元代表制の片方を担う議員が行政に取り込まれてしまっていることになる」という意見があった。
私も同様の考えで《本府》は使っていない。議会の発言の際には《京都府》と言うようにしている。手元にある清水書院の国語辞典にも《本府》は掲載されていない。《ほんぷ》は《本譜》と《本夫》しか載っていない。
京都新聞の記事でも《本府》とは書かれない。《京都府》と書かれている。京都新聞は滋賀県も取材エリアに含むからかと、隣りの兵庫県の県紙・神戸新聞を調べるとそちらでも《本県》とは書かれず、《兵庫県》と書かれていた。
一方、宮崎日日新聞、山形新聞、福井新聞、上毛新聞…など、地方紙では記事に《本県》と書いているところが多い。
鹿児島県の南日本新聞は《鹿県》と書いており、新聞の場合は字数の関係で《本県》と略しているのかもしれないし、県紙は行政と一体のようになっているので、行政との一体意識もあるのかもしれない。新政府に蜂起した薩摩藩の鹿児島では、県民意識に県庁との距離感があって、《鹿県》なのだろうか?と思ったり。
京都府議会議事録を調べると、京都府教育委員会は《本府教育委員会》とは言わず、《府教育委員会》と発言されており、京都府警察本部は《当府警》とか《当府警察》と発言しておられる。府の組織が全て同じ言い方でもないようだ。
《本府》と《当府》の違いは、大分県佐伯市の「公文書の手引き」の中に「《本市》と《当市》に関し、特に使い分けについての定めはないが、多くが次の見解によっているので、原則としてこれによる」として下記のように定められている。
すなわち、
(1)「本市」は、市内を対象とするときに用いる。したがって、市民への通知文書などでは市内が対象だから「本市」を用いる。
(2)「当市」は、市外を対象とするときに用いる。したがって、他市への照会、回答文書などでは市外が対象だから「当市」を用いる。
となっている。
《本市》も《本府》も、もともと公文書作成の際に定められた行政用語ではないかと思われ、一般の方々には聞き馴染みがないため、やはり議会での質問の際には《本府》の使用を避ける方が良いように感じる。
「本府におかれましては…」という使い方も府議会ではよく聞くが、これは「弊社におかれましては…」と言っているのと同じで、日本語の用法としておかしいので、《本府》を使用する際には、せめて「本府においては…」と謙遜した使い方をするべきだろう。
民間企業では自社を呼ぶ場合は《弊社》《当社》と言って《本社》とは言わないが、役所は《本省》や《本庁》と言ったり、裁判官や警察官が《本官》と言うことはあるので、《本府》には若干、「お上意識」も混ざっているように感じる。
新聞社が自らを「本紙」と呼ぶのは、報道機関の「ペンは剣よりも強し」との気概を表現しているのかもしれない。テレビは国の許認可事業であるからか、本放送局とは言わないようだ。