28日㈭朝、綾部中学校の小林治校長が事務所に来られて、打ち合わせ。
議会のため、京都に向かい、12時半から議員団会議、13時半から文化生活・教育常任委員会に出席し、文化生活部の所管事項の質問。
昨日の教育委員会に引き続いて、私立高校の行き過ぎた生徒確保について質問。私立が「専願なら多少点数が低くても合格させるが、併願なら分からない」と露骨に中学校に言ってくるのはやり過ぎではないか?と思っている。
このことは9月22日の本会議一般質問でも西脇知事に質問した。※写真は本会議での一般質問の様子。
本来、専願というのはスポーツ推薦とか、成績優秀者の特待生とか、特殊な実技試験を要する学科であるとか、そういう場合に使われるのは分かるが、一般受験生にまで適用するのはどうかと思う。私立が専願誘導するなら、公立高校は前期と中期で分けずに前期で一度に合格者を出せば良い。あえて中期に大きく定員を残しておくのは、私学と併願してもらうためだ。
「私学の側が一般受験生にも専願誘導をするのを文教課が良しとするなら、公立高校は前期で定数いっぱいまで合格させるように教育委員会に申し入れるがいいか?」と質問しても、「私学は建学の精神に基づいて独自の受験制度を工夫しておられ…」とよく分からない建前論を繰り返すばかりで、文化生活部の文教課から222億円も毎年補助金を出していながら「私学に物が言えない」という答弁だった。
■私学も教育委員会で所管したらどうか?
そんな「他人事」のように対応するなら、教育のことは教育委員会に任せ、私学も教育委員会に所管を移管すれば良い。もともと私学は宗教法人が創設したところが多く、それゆえ宗教法人を所管する文教課が一緒に所管しているが、宗教と教育は独立したものなので、片手間で所管するのは良くないと感じた。
公立高校が第一志望校なら、それを諦めて「私学専願」にしなくても、公立と私立を「併願」できるように制度を配慮すべきだ。両方合格した後でどちらに行くか自分で選択できる、もしくは第一志望に合格できなかった場合には諦めて第二志望に行くことを自らが決めることによって、高校進学後の中退者を減らすことにもつながると考える。
ほぼ100%高校進学を望む時代になっており、公立は後期受験をもっと活用して、中期でも合格校がなかった子に対してのセーフティネット機能を高めれば良いと思う。
子どもの数が少なくなっているから奪い合いになっているのは分かるが、結局、不安がらされるのは公立高校ではなく、中学3年生とその保護者だということをよく考えてもらいたい。
■府内の私学の平均授業料は74万円
あわせて、京都府内の私立高校の授業料で一番高いのは、どこの高校のどの学科か?と質問したところ、「同志社国際だったか、98万円です」という答弁だった。「もっと高額な授業料の学科もあるように聞くが」と再度質問したところ、「学科によってはそういうところもあるかもしれないが、一般的なコースで一番高いのは98万円」という答えだった。「それでは、平均の授業料は?」と聞くと「74万円ほどです」ということだった。
大阪府では「所得制限無しの高校無償化」を進めるにあたり、私立高校の授業料補助上限を63万円とする「キャップ制」を導入している。63万円を超える額は私学の負担になる。大阪府の私学は授業料63万円で学校運営するのに対して、京都府の私学は74万円で大阪府より10万円ほど高い。授業料以外にも教育充実費や寄付金など、いろいろと納めなくてはいけないようだ。
■学校体育館のエアコン設置、私学は60%で公立は0%
さらに「私立高校ではトイレの洋式化はどれくらい進んでいるのか?」との質問には「把握していない」という回答だった。そういうことの把握もせずに、「私学は設備が老朽化し、学校経営が苦しい」としているのはどういうことなのか?と指摘した。
すると「トイレの洋式化率のデータはありませんが、学校体育館のエアコン設置の整備率のデータはありました。6割です」という答弁が返ってきた。6割は少ないという意味だったのかもしれないが、昨日の公立高校の学校体育館のエアコン設置が0%だと聞いた後だったので、他の議員の皆さんも公立と私立の設備の差には驚かれたのではないだろうか?
設備の差や授業料といった実情を把握せずに、ただただ私学への補助金の増額を求めていくことでは理解が得られないと思っている。
■今議会、私学助成の充実に関する意見書は提出せず
毎年、9月議会では「私学助成の充実強化等に関する意見書」を自民党府議団から提案して可決してきたが、今年は「現状の公私の差を考えると、私学のみ充実させる意見書では賛同できない」と私は議員団会議で意見を述べた。そこで、公私のバランスをとった意見書が出される予定で準備されていたが、最終的にはそれには別の議員から締切後に反対があり、今議会では取り下げることになった。
12月議会に向けて、新たな意見書の検討がなされるだろうが、「公私のバランスを考慮した題名や内容の意見書でなければ賛同できない」ということは議員団会議で表明してある。今議会で提出するはずだった意見書を下ろす際にも「意見書提案は会派全員の意見の一致が原則」ということも議員団会議で確認してあるので、たとえ1人の意見でも無視してもらっては困る。
■教育環境と人口集中には相関関係あり
府内で複数の私立高校が立地する自治体は京都市、宇治市、福知山市の3つしかない。東京への人口一極集中を是正のために、政府は首都圏の大学定員を制限したこともあるように、教育環境と人口集中には相関関係がある。
綾部市のように1校しかない綾部高校が万が一なくなれば、綾部市の人口減少はますます進むばかりだ。
これまで相当躍起になって府議会でこういう議論をしてきたからこそ、綾部高校にも力を入れてもらえるようになり、今では志願者が増えてきたが、他市に流出している状況は止められていない。甘いことを言って維持できるほど、綾部市は余裕のある自治体ではない。
もちろん、個人の学校選択の自由は保障されるべきであり、それに反対しているわけでは全くない。むしろ、個人の学校選択をさせない制度を許していることを京都府には引き続き、問題提起していきたい。