現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

「密息」とは

2012-07-05 09:42:45 | 尺八・一節切
『密息』で検索すると30万件もヒットします。

その全てが、中村明一氏の『密息』に関するものです。
彼の著作や講演で、すでに30万人もの人が、「密息」
を理解したのでしょう。武道家や中国の気功師も、
「密息」に共感しています。私も「わが意を得たり」
でした。

ところがところが、「明暗蒼龍会」の前川耕月師は
この中村明一氏の「密息」の解釈を真っ向から批判
しています。
「密息」とは「密やかな息」であって、「吸うも吐くも
全く感じさせない呼吸法である」というのです。

なるほど、何でもすぐ信じてしまう私。云われてみれば、
中村明一氏の尺八奏法は、極めて現代的で、彼独自の音で
あり、50年、100年前の虚無僧が吹いていたのとは
まったく別ものでしょう。

「明暗蒼龍会」は、岡本竹外師の奏法を忠実に伝承
している会員の集まりであり、「虚無僧研究会」の
中枢を占めています。いわば正当派です。

その「前川耕月」師のCDを聞かせていただきました。
ほんとに 昔なつかしい やわらかい虚無僧の音です。
そして、たしかに 息継ぎを感じさせない。吸う間が
とても短い。淡々と音が連続していくことには
驚かされます。

無理のない、静かな、自然の呼吸で、より長く、より
強く大きい音を響かせる。これぞ“虚無僧尺八”の
極地かと思わされます。

地無しの長管を吹くには、「舌を下唇に押し付けて
吹く」というのですが、私にはできません。今までと
全く違う口の形で尺八を吹く練習の開始です。

尺八の修行は何年経っても、尽きることがありません。