現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

魂の響き「佐村河内」

2013-04-03 23:25:20 | プロとアマ
3月31日(日)21:00~『八重の桜』の後、引き続き
NHKスペシャル『魂の旋律 ~音を失った作曲家
佐村河内守』。「河内守」というので歴史上の
武将の話かと思ったら、「さむらごうち まもる」
とのこと。「聴覚を失った現代のベートーベン」と
いうナレ。「全聾の作曲家」と知って衝撃でした。

「佐村河内守」は、ゲームソフト『鬼武者』の
作曲で知られるようになった。たしか尺八と琵琶が
使われている。彼は尺八も吹くそうな。


両親は広島原爆の被爆者。被爆との関係は不明だが、
彼は、作曲家を志した17歳の頃から、原因不明の
偏頭痛に襲われ、次第に聴覚を失った。それだけでは
ない、薬の副作用で時には立つことも歩くことも
ままならなくなる。

明るい光を浴びると烈しい耳鳴りがするため、
昼も暗い室内で過ごす。そんな状況の中で
どうやって作曲するのか。絶対音感を頼りに
各楽器の音程を 緻密に組み立てていく。

彼の名を一躍有名にした『交響曲第1番』。
70分の大作。絶望的な苦しみ、やり場のない怒り、
口のない不安……。そこから生み出される音楽は
沈鬱な あまりに重い響きだ。

全身全霊を捧げ、命を削って書いた“魂のシンフォニー”。
だが 彼は、完成した自分の曲を聴くこともできない。

なんという痛ましい運命。これも神の為したもう
ものか。五体満足では響き出せない世界があると
いうことを知る。