喫茶去

徒然に、日々の生活を書き留めたいと思います。喫茶去、まあ、お茶でも飲んで、のんびりしていって。

井上靖記念室

2011-10-23 | 読後感

先日、奥様ジャーナルの滋賀へのバス旅行で、
6月に行った向源寺の十一面観音像の参拝もあった。

しかし、みんなから離れて、一人、
6月に時間がなくて行きそびれた
井上靖記念室に行ってきた。

高月町立図書館の中にあり、
普段、鍵がかけられていて、
見学時は図書館の職員さんに申し出て
開けてもら。


高月町立図書館


井上靖記念室

小説「星と祭」や随筆「美しきものとの出会い」の中で
湖北の観音像を描き、
生前、湖北の人々との交流を深められたという縁で、
ここに、「井上靖記念室」があるようだ。
図書館も井上氏の助言を得て造られたらしい。

そこで、Amazonで





取り寄せて、読み中。
上巻読み終わって、今から下巻。

琵琶湖のボート事故から7年も
娘の遺体が上がらず、葬式もしていない。
現実では、7年も葬儀をしないことは
ありえないと思うけど・・・・そこが小説。
この小説の中で、娘の父親が、
「古代に於いて、人が死んでも、すぐ死者として取り扱わず、
生と死の中間にあるものとして、“もがり”の期間を設定し、
この期間に挽歌が捧げられている。
僕の場合の対話に相当すると思う。
正者でも、死者でもない故人に、
自分の人間としての本当の気持ちをぶつけたものなんだ。
古代人は、おそらくこういう期間でも設けない限り、
人間というものは救われないと思ったのではないか・・・・・・」
「娘は永遠に“もがり”の状態に置かれてあり、
そういう意味では正者でも、死者でもなかった。
生と死の中間に居り、娘との対話を持つことができた。
いつでも娘に挽歌を捧げることができた。
永遠に対話できる場所に居る。」
と一人二役で父親は折々に娘との対話の時間を持つ。

ボート事故以来、琵琶湖を訪れていなかった父親が
7年後に初めて琵琶湖を訪れ、
一緒に遭難した相手の父親に偶然出会い、
その父親が悲嘆にくれていた時、
あるおばあさんに誘われ観音像を拝みに行く。
「観音様が琵琶湖に顔を向け、

四六時中こうして琵琶湖を見守っていて下さる。
お任せしとけばいい。」とおばあさんから言われ、
それからというもの観音像に挨拶しに
拝んで回っていると話を聞く。
その父親に誘われ、石道寺石道寺の十一面観音像
向源寺の十一面観音像を観たことから、娘の父親も、
琵琶湖の観音像に惹かれていく・・・・・

下巻はエベレストの麓に月見に行くんだけど、
すごく贅沢!
さて、さて下巻はどのような展開になりますやら。

実際に最近や、3~4ヶ月前に行った
琵琶湖や竹生島、お寺が出てきて、
小説なのにすごくリアルで不思議な感覚で読んでます。


『星と祭 上・下
著  者:井上靖
出版社:角川文庫

コメント (2)
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