この漢字、怖くて残酷な漢字だそう。
毎週土曜日、中日新聞夕刊連載の
漢字物語(白川静文字学入門)の今日の内容。
「方」は「木に架けられた死者の姿」だそう。
古代中国では自分の国の辺境に、
木に架けた「方」を置いて、
その死体のまじない的な力で、
外側にいる異民族の悪い力が
自国に及ばないようにしたのだそうです。
この「方(かたへん)」のつく「放」という漢字、
かたへんの右の元の字は「攴」で、
上部の「ト」は「木の枝」などのことで、
下の「又」は手の形だそう。
つまり、「方」の右の字は
木の枝などを手に持って何かを打つ字だそうです。
つまり、「放」は
「木の枝」で「木に架けた死体」を打つ字で、
打って、死んだ体にあるまじないの力をさらに刺激し、
その力で、敵からの悪い霊を
追い払おうとしている文字が「放」なんだそうです。
ところで「辺」の旧字「邊」は
「自」「穴」の下に「方」を書いて、左にしんにょう。
これは、「自」は「鼻」の形、
「穴」は何かを載せる台のような形、
しんにょうは道路を行く意味。
ということで、「邊」という字は、
「鼻を上向きにした死体を台の上に載せて、
国境あたりに置いて、
悪い霊の外からの侵入を防ぐ」という字なんだそうです。
いやはや、「方」のつく字には怖くて残酷で、
呪術的な意味が隠されていたとは、知らなんだ