午前6時の気温はプラス20度。
台風一過、スカッと晴れて気持ちよい朝でござる。
ご当地は、きのう午後から風と雨が強くなりましたが、それも夕方で終わり。
その後はパラパラ雨が降る程度で、9年ぶりという北海道への台風上陸はそれでおしまいでした。
台風の西側というのは、やはり影響が少ないことになっておるようです。
道東方面や函館方面などで被害に遭われた皆さんには、お見舞いを申し上げます。
おぢは昨夜、先週お盆でお休みだったズンバで、じゃぶじゃぶ汗をかいてまいりましたです。
おかげでここんとこ呑みすぎやら何やらでだるくて仕方がなかった体もすっかり復調の気配じゃ。
暑い夏を乗り切るには、運動してしっかり汗をかく。
そんなことに尽きるようです。
雨風が強くなってきたきのう午後、我が家では先日録画しておいた映画「日本のいちばん長い日」を拝見してましたです。
2015年の作品で、昭和天皇を本木雅弘さんが、阿南惟幾陸相を役所広司さんが演じており、当時も話題になってましたが、おぢは旧作しか見ておりませんでした。
終戦の日8月15日の早朝、割腹自殺する阿南陸相の心情、まさに「一死、大罪を謝す」がよくわかる映画なのでした。
映画は作家の半藤一利さんの監修でした。
たまたま今月号の文藝春秋に「我らが見た人間天皇」で、半藤さんと保坂正康さんが対談しておったので興味深く拝見したのでした。
対談の方は、今年6月に半藤、保坂の2人が御所を訪ねて、天皇・皇后とお話されたときのことが記されておって、これがまことに興味深かった。
これによると、天皇は昭和の戦争について特に関心を持っておるそうな。
そこで保坂さんが同じ日本軍の部隊でも指揮官に差が生じることがあり、こういった問題はまだ解明されていないと話した。
陛下は「それはどんなケースでしょうか」と具体的な説明を求められたそうな。
保坂さんは、インパール作戦で3万人以上の日本兵を戦死、病死、餓死に導いたあの牟田口廉也司令官の話をしたそうです。
また、「緑の連隊長」と呼ばれ、中国山東省などで激戦を重ねる中、大本営から寒さに強い苗木を送らせて、戦闘が終わると戦車から苗木を下ろしてそれを植えて行った、吉松喜三陸軍大佐について話したそうです。
「植樹部隊」と呼ばれたそうで、昭和21年の復員までに400万本を植え、毛沢東からその功績が認められ感謝状が贈られたというから驚いた。
また、半藤さんは満州事変の話をしたそうです。
関東軍は柳条湖で満鉄の線路を爆破し、満州占領を考えていた。
「あいつらを止めねば」と東京の陸軍中央は、建川美次という作戦部長を満州に派遣する。
ところが、この建川部長は関東軍幹部とツーカーの仲で、なかなか満州に行かず、ようやく行ったものの、出迎えた満州事変の中心人物である板垣征四郎陸軍大尉と連れ立って酒を呑みに出かける。
そして二人が酒を呑んでいる間に、石原莞爾中尉らが計画を前倒しして満鉄の線路を爆破し、満州事変が勃発する。
国家が大事な問題に直面するとき、中堅幹部が上層部を蚊帳の外にしてしまうことは案外多いそうだ。
中堅幹部が自分たちだけで話し合い、陰謀を巡らすのです、と半藤さんは天皇に話したそうです。
そういえば、終戦のご聖断が下ったあと、8月14日の深夜、陸軍の中堅幹部が皇居を占拠し、クーデターを起こそうとしておった「宮城事件」が映画でも描かれておりました。
近衛第一師団司令部にいた森師団長は、中堅幹部に拳銃で撃たれ、切り殺されておる。
戦争を継続しようと企てた、一部陸軍中堅幹部によるクーデター未遂事件でした。
中堅幹部が暴走し、戦争に突入したり、クーデター未遂事件を起こしたりといった時代なのでした。
そしてその戦争から71年、いまその犠牲の上に成り立った平和憲法に、暗雲立ち込める中、映画「日本のいちばん長い日」も今月号の文藝春秋対談も、まことに興味深いものなのでした。
どちらもこの夏休みのお勧めなのでござる。