このところ忙しく、火山の勉強が進みません…。
なので今回は、ここ2日間のツアー報告をしたいと思います。
何しろ楽しい発見が沢山あって、これをお伝えしないのはもったいないので。
ツアーでは、一昨日にテキサスコースから温泉ホテルへ抜ける道を、
昨日は山頂口から火口を一周し温泉ホテルへ抜ける道を、それぞれ2名のお客様と歩きました。
一昨日のツアーでは、1986年のB溶岩流上のオオムラサキシキブに初めて気がつきました。
まだハチジョウイタドリと同じぐらいの背の高さですが、、しっかりと美しい紫色の実を実らせていました。
鳥が食べこぼした種が成長したのでしょうか?
もしかしたらこれは、24年前の溶岩流上に根を下ろした第一号のオオムラサキシキブかもしれません。
こんなに栄養の無さそうな場所で成長して実まで付けるのですから、本当に逞しいですね。
樹海に差し掛かる手前では、美しい真っ白な蛾を見かけました。
ウスキツバメエダシャクです。
こんな変な恰好のまま微動だにせず、固まっていました。
後ろ足1本だけを地面につけて、残りの足は不安定な草の上に乗せたまま踏ん張っているのが何ともおかしかったです。
大学時代に動植物研究会(正確ではないかも・・・)に所属していらしたというお客様は
「羽化したてで翅が乾いていなくて飛べないのでは?」と蛾の立場に立って、語っていらっしゃいました(^O^)
もしその通りだったとしたら、広い世界に出てきたとたんに巨大な生き物に取り囲まれ、カメラを向けられたウスキツバメエダシャクは、
さぞかしビックリしたことでしょう(^_^;)
さて、次に昨日のツアーですが、私的な一番のヒットはコレです!(お客様はかなり引いていらっしゃいましたが(^_^;))
オオバヤシャブシの葉の上で下半身を振り回しながら葉をムシャムシャ食べるイモムシの集団を見かけたのです!
帰って調べたら、これは“ヒラアシハバチの幼虫”だということがわかりました。
10月ごろ土中に潜ってサナギになるようです。
今年はまだ気温が高いので、土に潜るのを先に延ばして食事をしていたのかもしれません。
しかし何で体を振りながら、葉を食べるのでしょうかね?
中には「エイヤッ!」とばかりに倒立して、葉を食べている者まで居ました。
なんとも、すごい技ですよね~?(感心)
1986年A溶岩流の上ではお客様が、火山礫の下から糸のように細い緑の葉が伸びているのを見つけて、教えて下さいました。
場所と種の形からして、「ススキの芽生えに違いない!」ということになり、これまた盛り上がりました。
今まで意識したことがありませんでしたが、ススキの種は秋に芽生えるのでしょうか?
そして、火山礫の下で寒い冬を過ごすのでしょうか?
またまた観察課題が増えました~。
1986年のスコリア上にできたススキの草原の中では、真っ赤な葉を見つけました。
「何だろう?」
近づいて何の木か確認したら、マユミでした。
噴火後24年が経つスコリアの上には、貧栄養に耐えるオオバヤシャブシやニオイウツギに混ざって
もう、大島のカルデラ外の森に生きる樹木が、確実に育っているようです。
今までは、周囲の緑に溶け込んでいて、気付かなかったのですね・・・。
しかし、本当にモミジか?と思うほどの赤い色でした。
どうやら日あたりの良い場所に生えるマユミは、こんな綺麗な色を出すようです。
山頂口から見渡す景色の中にも、所々に鮮明な赤が混ざっているのですが、それもマユミかもしれませんね。
さて、こちらは森の中。
葉が赤くなる前に、全て食べられて無くなってしまいそうなマユミの木です。
昨年と同じようにミノウスバのメスが卵を産んでいました。
肉眼では気づきませんでしたが、写真には卵を自分の体毛で保護する親の姿が映っていました。
両日とも薄曇でしたが短時間だけ太陽が顔を出し、キラキラ輝くススキの風景を楽しんでいただく事ができました。
この美しさは、とても写真では再現しきれません。
次の噴火ではきっとまたスコリアが降り積もり、真っ黒な砂漠からの再生が始ることでしょう。
そうしたら何年間かは、このキラキラ輝く一面のススキという光景は見られなくなります。
三原山の噴火とススキの生命力が作り出す、今がまさに旬の美しい景色。
一人でも多くの方に見ていただきたいです。
皆さん、時間を作って、ぜひカルデラへお出かけください~。
(カナ)