グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

「なんだこれ?」in平床

2012年03月29日 | 火山・ジオパーク
今日は、嶋田、柳場、私の3人で、南部の“平床”という海岸へツアーの下見に行ってきました。
ゴールデンウィーク前半に、ツアー3回目のお客様に、海岸リクエストを受けているからです。

ここを選んだ理由は、森から草地、海へと植物が移り変わる様子が楽しめるから。
車を降りると、すぐに森がはじまります。


森の中では、ちょっと暗め場所に生える植物“ウラシマソウ”が、もう花を咲かせていました。

この花の形を気味悪がる方も多いのですが、私はこの花を見ると“森の春”を感じます(^.^)

太い倒木が横たわる雰囲気に誘われて、沢に降りてみました。
いい感じの森だ~!(ワクワク)

こういう景色を見ると、木登り好きの柳場は我慢できないようで…「この枝、誰かがつかまると危ないよね。折れやすいから。」と言って木に登って枯れ枝をバキバキ落としはじめました。(心配しなくても倒木を登っていく人って、あまりいないと思うのですけど・笑)

沢の両脇には、昔ここで何が起こっていたのかを、想像させる景色がいっぱいです。

「これは溶岩流だよね~。」
「いつごろ流れたんだろう?もうずいぶん隙間に土ができている。」

溶岩の亀裂に入った土からは、森の植物、オオシマカンスゲが垂れ下がっています。
「滝みたいだね。」

「ほんとだ、緑の滝だ~!」

濃い緑の森は、だんだん低木まじりの草地へ移り変わっていきます。


海岸に出ました!

土石流か何かが流れ込み、それを波が削ったと思われる景色が目の前に開けています。
海に浮かぶ利島も見えて爽快!(^^)!

海岸線には、目を奪われるような素敵な風景が連なっています。
この、壁面の色使いをご覧ください。

黒、白、グレー、茶色、エンジ、緑…。
(写真には、あまりハッキリ写りませんでしたけど(^_^;))

そしてこの状態、皆さんはどう読み解きますか?

私たちは協議の結果…「まず溶岩がドロドロ海に流れ込んで土台を作り、それから土石流が地面を覆って、その上に火山灰が降り積もって、そこに海水がかかって塩の結晶を作ったんじゃないの?」というところに落ち着きました。

「この白いのは、塩だよね。」
「あ、しょっぱい!塩だ塩だ!」

「おいしい~!」

「この穴、縄文人が住むのに良さそうだな~。」柳場が壁に開いた穴を調査中。

「けっこう広くて住み心地良さそうだよ。香奈さん入って中から写真撮ったら?」
「そ、そう?」
 
「あ、ホントだ。じゅうぶん暮らせる~!」

中からの眺めも、なかなかでした!(^^)!

2人からは次々に「なんだこれ?」という声があがります。「これ、どうやってできたの?」と思うと同時に、「なんて素敵なデザインなんだろう!」とビックリするものが、どんどん見つかりました。

たとえば…
妙に込み入った赤と黒のまだら模様。


きれいな横筋


???何で?


あ、これってもしや、波で石がグルグル回転して穴ができ始めているのでは?

ちまたではこれを「ポットホール」と呼びます。
まだ子供のポットホール?

「これ、いつも帽子に見えるんだよね。」

「でっかい帽子だね~!」

裏へ回ると、この“大きな帽子”は、海岸の丸い石の上に乗っているのがわかります。

「これは、台風か何かで海の石が転がってきたところに火山灰が降って、その上を土石流が流れてきたのかね?」「でもなんでここだけ、周りから離れているんだろう?」←解決せず(^_^;)

「あ、壁から水が出ている!」

火山灰が酸化して鉄さび状態になると、水が滲みにくくなると以前教えてもらいました。

くぼみには、こんなに水が溜まっていました。

大島の地下には、こんなふうに水がたまっている場所が何か所もあるのでしょうね。
広い穴もあるし、真水もあるし、私が縄文人だったらここに住むかも!

「あ、こんなに大きい木が残ってる。この状態で何の木かわかるのかね~?」

「この木がなくなると、上にあるような穴があくわけね。」

…とまあこんな感じで、結局2時間近く平床でウロウロしていました。
「なんだこれ~?」の連続で、とてもとても楽しかったです。

以前ここに来た時も「?」だらけでしたけれど、その時は全然解決できない「?」ばかりでした。
それが今では、3人でいろいろ議論しながら大昔の情景を、思い浮かべることができます。

ちょっと地形の読み取り方を教えてもらっただけで、こんなにワクワク感が違うんですね。

火口の周りでも森でも海でも“大迫力の火山の活動”を感じられる大島。
「大島って、本当に面白いよね!」

3人でそんなことを語り合った、ツアー下見でした。

(カナ)








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