グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

ますます火山好きに。

2012年03月01日 | 火山・ジオパーク
今、伊豆大島の火山について一番詳しい専門家、川辺禎久さんが調査で大島にいらしています。
(週末のジオガイド講習の講師も務められます!)

「ぜひ川辺さんに同行させてもらって勉強したい!」と思いお願いしたら「いいですよ。」と快諾してくださいました。…で、今日の朝9時、ガイド仲間で地層大切断面に集合しました。

そして集合するなり、質問続出!(笑)
たとえば「大島火山が海底で活動を始め、海面に顔を出したのはいつごろか?」

この質問に対しては「大島も三宅島も海底からの噴火で海面下200~300mから成長を始めました。4万年ほど前にはマグマが水と接触する激しい水蒸気爆発で、噴出物がうっすらと海面に陸地をつくっていたのではないかと思います。だんだん陸地ができてきて水と接触しない陸上の噴火に変わったのが、2万年ぐらい前だったようです。」と教えてもらいました。

なるほど~海面に噴火で急に島ができたわけではなく、段階を追ってだったのですね。
この話を聞いて、何だかよりリアルに昔の光景が思い描けるような感じがしました(^。^)

質問は次々に出てきます。
質問1「伊豆諸島の中で、一番古い火山はどれですか?」
川辺さんの答え「御蔵島と八丈島の東山ですね。御蔵島は実はとても大きな火山で、海面下1000~1500mから立ち上がる大きな火山なのですよ。ずっと噴火がないので、海岸線が波に削られて切り立っています。」

質問2「土石流、火砕流、岩なだれの違いと見分け方は?」
川辺さんの答え「土石流は雨や雪解け水など水が運ぶもので、石の種類が雑多で泥や砂など色々なものが混ざっています。火砕流は空気が運ぶもので粒子が細かいものは混ざらず、またあまり重いものを遠くまで運ぶ力がないので、火口から離れた所ではせいぜい握りこぶし大の岩が入る程度です。岩なだれは山が崩れるすごく速い地滑りで、人の頭サイズの大きな岩がゴロゴロ入っています。」

これらの質疑応答のほか、最近の調査の結果の、新しい考え方も教えてもらいました。
カルデラが何回かの噴火(4回以上?)の複合物であるかもしれないことの根拠や、行者の磐火山がもしかしたら火山ではなく、もっと南にあった大きな火山のカルデラである可能性があること、などなど…。

地層大切断面の前に集合したまま、質疑応答をしているうちになんと1時間半が経過していました。
そしてこの後さらに、以前から不思議に思っていた場所の地層の読み取り方を教えてもらいました。

地層大切断面と海に挟まれた森の中。
いつも観察するこの地層は、ちょうどカルデラができたころの噴火で降り積もったものらしいです。

気泡が少なく(小さく?)角ばったスコリアは水を含んでいるときにできやすく、カルデラの底が深くてまだ水がたまっていた時代のものでしょうとのこと。

カルデラをつくったころの大爆発で空から降ってきたものが今目の前で触れる…何だかドキドキしてきました(^O^)

「これは水でゆっくり流されてたまったものだと思います。」

と、川辺さん。

この写真で横に走る2本の細い線は「水で流れてくる時重いものが下に沈み、その上に粒子の細かいものが沈むからできた“重いものの層”」なのだとのこと。


私が「空から降ってきたスコリアとどう違うんですか?」と聞いたところ…

「粒の間にもっと粒子の細かいものが積っているし、下のラインがハッキリしているのに上のラインがあいまいでしょう?」と川辺さん。なるほど、そうやって読み解くのですね(^^)v

歩いていている足元にも…
「あ、この穴、枝が腐って抜けた痕ですよ。」

な、なるほど~。今まで何回もここを歩いているのに、そんなことまるで気づきませんでした~(^_^;)

場所を変え、トウシキでは壁の下の粘土質の黄色い層の謎を解いてもらいました。

どうやらここは、谷を流れた風化火山灰がたまったもののようです。
火山灰は水と反応すると粘土っぽくなりやすいとのこと。

「これ、顔に塗ったら泥パックができるよね~。」byみんな


「これは噴火した後に上から流れてきたんだね。」


このほか、様々な地層の読み取り方を教えてもらいました。

壁に挟まった大きな白い岩は丸いのが海にあったもの、角ばったのは地面が砕けて飛んできたもので、間を黒いスコリアが埋めていること。

海側が高く陸側が低いことから、この近くで海の方に火口があって大きな噴火が起きたと考えることができるそうです。

アア溶岩を波が削ってつくった景色を眺めながら…


みんなで身近な風景から、過去のイベントを想像して楽しんだのでした。

目の前の地層を読み解く力さえつければ、だれもが過去の大迫力のイベントを想像して楽しむことができる…
大島、楽しいです!
何だか、ますます火山好きになったように感じた今日の半日でした(^O^)

貴重な時間を割いて私達にたくさんのことを教えてくださった川辺さん、ありがとうございました!
火山の楽しさをみんなに伝えることで、今日の恩返しをしたいと思います。

そしてできるだけ今日の成果を、講習に参加される皆さんと共有したいです。
きっと今週末に、大島の火山好きが増えるだろうなぁ~(^O^)

(カナ)












コメント
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