日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

トランプ大統領の暴走?本当に自国ファーストなのか?

2025-03-12 19:25:35 | ビジネス

今日の夕方のニュースで、米国・トランプ大統領がアルミニュウムや鉄鋼などに対する輸入関税を25%引き上げる、と発表した。
しかも、これまで例外的措置とされてきた日本に対しても、同様に関税を課す、という発表だった。
日経新聞:トランプ政権、鉄鋼・アルミ25%関税発動 日本も対象 

これまでのトランプ政権の考え方は、「自国ファースト」だった。
自国の産業を守るため、輸入される様々な物に大幅な関税率を上げる、というのがその手法だった。
今回も、その手法に準じたに過ぎないのだが、本当に「自国ファースト」という政策なのか?という、疑問が出ている。
Reuters:米のアルミ関税、国内で10万人の雇用喪失招く可能性=アルコアCEO 

Reutersの見出しにある「国内」というのは、米国内のことを指している。
トランプ政権のこれまでの考えは、上述した通り「自国ファースト」であり、米国内の雇用を守るための関税の引き上げだったはずだ。
しかし、今回の関税25%は、逆に米国内のアルミに関わる産業従事者の内10万人という、大規模な失業者を出しかねない、という話なのだ。

では、もう一つの鉄鋼はどうなのか?というと、米国の主な鉄鋼会社の3社の経営トップは「例外なく関税のアップ」を、トランプ政権にしていたようだ。
Bloomberg:米鉄鋼大手首脳。関税適用例外なく認めぬようトランプ政権に要請 

とはいうものの、関税を上げることで米国内での鉄鋼産業は決して順調とは言えない状況にあるようだ。
一つは建築資材としての鉄鋼が低調である、ということ。
米国のインフレや高い借り入れなどにより、米鉄鋼業界自体は、決して利潤を上げているという状況ではないからだ。

そう考えると、今回のトランプ政権の鉄鋼・アルミの関税アップは、米国内における産業に対してダメージを与える可能性が高い、ということになる。
にもかかわらず、トランプ政権は「自国ファースト」を掲げ、様々な分野の関税の引き上げを打ち出そうとしている。

そのような状況を見て「トランプ大統領の暴走」と、言う方もいらっしゃるようだが、暴走という言葉でこれらのトランプ政権の経済政策を言ってしまってよいのだろうか?
諸外国からの関税を引き上げる=自国ファースト政策ではない、ということが徐々にわかり始めた時、トランプ大統領はどのような舵を切るのだろう?
後戻りできるのだろうか?

そして日本政府は、米国に頼らない国内産業の充実を目指す必要があるのでは?と、感じている。
安い輸入商品を市場に出す、のではなく、やや高くても日本製品を市場に出すことで、国内の雇用を守るだけではなく中小企業の雇用を守る、というこれまでとは違う視点と発想の産業保護を考える時期に来ているような気がする。