先週くらいからSNSで話題になっている言葉がある。
ご存じ
「ロマンチックおばさん」という言葉だ。
元々「ロマンチックおばさん」という言葉は、50代、60代になっても少女趣味のような花柄の服を着るおばさんのことを指していた。
年齢相応なシックなファッションを着るおばさんに対する、対義語のような感じだろうか?
その意味で「ロマンチックおばさん」という言葉は、ネガティブな言葉だった。
ところが、SNS上で「私も60代になった時、花柄の洋服が似合うカワイイおばさんになりたい」という、投稿をきっかけに、ポジティブな言葉として、とらえられるようになったのだ。
この間1週間も満たない期間だったような気がしている。
個人的には、TPOに合わせ、着る人自身に似合っていれば、花柄だろうがアニマルプリントだろうが、良いのでは?と思っている。
ファッションそのものには、規制となるモノがあるわけではない。
年明けの「講書始の儀」で、大阪大学名誉教授の武田佐知子先生のご進講では、古代における祭祀の衣装に性差が無かった、という話があったほどだ。
10年ほど前に話題になった「スカートをはく男性」が登場するような時代なのだ、年相応なシックなファッションと言っても、そのシックなファッションが似合わないのであれば、無理に合わせる必要などない、と考えている。
とはいえ、「ロマンチックおばさん」と言われる女性たちが10代後半~20代前半のファッション傾向を、考えてみる必要があると思う。
というのも、多くの場合10代後半~20代前半の頃のファッションやヘアスタイルは、その後のファッション指向に大きな影響を与えると、言われているからだ。
現在の50代、60代の女性たちが10代後半~20代前半だった頃、日本では「DCブランド」と呼ばれるブランドに人気が集まっていた。
その中でも、ピンクハウスの金子功さんは絶大な人気があり、「カワイイ系」ファッションを好む女性たちは、未婚・既婚問わず着ていた。
その一方「黒を基調とした前衛的ファッション」として海外から注目を集めていたのが、「コムデギャルソン」の川久保玲さんや「Y’s」の山本耀司さんだった。
当時は、シックもカワイイも区別なく、「着たいものを着る」という、感覚の方が強かったのだと思う。
ただ、海外で注目を浴びたのは、上述したように川久保玲さんや山本耀司さんであり、金子功さんの人気は国内にとどまるモノだった。
その背景には、日本の「カワイイ文化」と関係しているのでは?と、想像している。
実は今でもピンクハウス系のファッションは根強い人気があり、DCブランドでおしゃれを楽しんだ世代はもちろん、その孫世代からも人気がある。
だからこそ、SNSで「ロマンチックおばさんに私もなりたい」と、20代位の若い女性が共感するのではないだろうか?
ただ「ロマンチックおばさん」になるためには、その女性自身の生き方も重要になるのでは?と、感じている。
いくら花柄のファッションが好きだとしても、似合わなければ「昭和の炊飯器柄」と言われ、「イタイ・ロマンチックおばさん」となってしまうからだ。
フンワリと優しい雰囲気を感じさせる女性でなくては、「ロマンチックおばさん」にはなれないのだ。
または、花柄に負けないほどの強さを持つような女性でなくては、似合わないのだ。
シックなファッションであろうと、ロマンチックおばさんファッションであろうと、50代以上になればその人の生き方が、顔や表情やしぐさに現れ、いくら自分が好きなファッションであっても、似合わなくなってしまう、という現実もまたあるのだ。
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