日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

上司の意をくむこと

2015-07-21 20:40:01 | アラカルト

東芝の「不適切な会計処理問題」。
発覚から、今日旧経営陣3人がそろって記者会見をした。
その中で、現社長が「不適切な会計処理の指示をした認識はない」という趣旨の発言をされたようだ。
ロイター:不適切な会計処理を指示したという認識はない=田中東芝社長

このような不祥事が発覚すると、よく聞かれるのが「このような(不適切な)指示をした認識はない」という言葉だ。
多くのサラリーマン(公務員も含む)は、この言葉を聞かれてどう思われるだろう?
おそらく「上司の意をくむことも、サラリーマンの仕事」だと、反論されるのではないだろうか?
田中社長は「(売上を上げるための)プレッシャーがあり、そのために不適切な処理をしても許されるものではない」と、話されているのだが、その現場で受ける上司からのプレッシャーというのは、いかばかりのものだったのだろう?
東芝がブラックな企業だとは思わないが、市場や生活者の気持ちを十二分に理解せず、企業側の思惑でモノが売れるような時代ではないのに、「売上の数字を上げてこい」とだけ言われるサラリーマンの気持ちを理解されていないのでは?という気がするのだ。
言い方が悪いのだが、一歩間違うと「ブラックな企業」と同じだと思われても仕方ないほどのプレッシャーを、社員に与えていたのでは?という、反省の気持ちの言葉がないところに、「ブラックさ」というものを感じてしまうのだ。
少なくとも「ブラックな思考」を持っていたのでは?という印象を受けてしまうのだ。

日本の企業というよりも、社会全体の傾向というか文化として「人の意をくむ」というところがある。
「人の意をくむ=配慮がある」ということにもなるし、人によっては「いちいち説明をしなくてはいけないほど、理解できない人物は使えない」という考えを持っていらっしゃる方もいるのでは?
その一つが、「男同士なら、言葉にしなくてもわかるのに、女性社員だといちいち説明する必要がある」という言葉だと思う。
実際、私も同様の言葉を随分言われたものだ。

それだけ日本の社会は「言葉以外のコミュニケーション」を重視する社会、だとも言えると思う。
それが悪いわけではない。
ただ、このような事件が起きると、上司となる人が「言葉の指示をしていない(から自分に責任がない)」という趣旨のことを、記者会見という公の場で言ってしまうと、「意を汲んだ」側の社員にすべての責任がかかってしまう。
少なくとも、企業の経営者が一般社員よりも高額な報酬を得られる大きな理由は、経営に関する責任を負っているからだ。
だからこそ、公の場でこのような発言をすることは、「意を汲んだ側」への配慮がないと思う。

先日、トヨタの米国人取締役の「薬物問題」で、豊田社長は「社員は家族」という趣旨の発言をした。
豊田社長は、彼女をかばったわけだ。
彼女をかばう必要があったかどうかは別にして、今日の東芝経営陣の発言を聞いていると「社員をかばう」という気持ちよりも、自己弁護に走ってしまったように感じる生活者が多かったのではないだろうか?
それは、今回の「不適切な会計処理問題」よりも、東芝のイメージを落とさせることになってしまったような気がする。

今回の件とは全く別だが、以前ちょっと面白い記事を読んだ。
日経新聞の「私の履歴書」に関する、面白いデータ分析だ。
その分析だあたっているのかどうかは、一読していただきたい。
ダイヤモンドオンライン:『私の履歴書』に出るとROEが低下するという怪




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