日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

経済のV字回復を目指すよりも・・・。

2020-06-05 20:20:18 | ビジネス

休校が続いていた小中高校なども、今月から本格的再開となった。
「緊急事態宣言」から解放され、先週末の繁華街は久しぶりに活気が戻ったようだ。
そして、テレワーク・リモートワークなどが続いていた企業も、一部業務は出勤という形態になったと聞く。
もちろん、テレワーク・リモートワークを継続している企業や担当部署もあるだろう。
「人が動き出した」という点で考えれば、今月からが「新型コロナウイルス」の影響を受けた経済の回復期に入るのでは?という状況だと思う。

「経済の回復」という言葉が出る様になると、経済誌だけではなく一般誌でも「V字回復」という言葉が、使われるようになる。
だが「V字回復」できるほど、日本だけではなく世界の経済は力があるのだろうか?という、疑問がある。
もちろん、経済の回復は1日も早い方が良いということは、分かっている。
分かっているが、急激な回復などは望めないという状態が、今の世界的な経済状況なのではないだろうか?
「V字回復」という発想は、怪我や病気をした人に、いきなり富士山登山をさせるような発想、のような気がしてならないのだ。

実際、観光業などは需要が回復するまでに1~2年は必要だろう、と考えているようだ。
日経新聞:新型コロナ観光業100社「需要回復1~2年後」過半に 本社調査

需要が1~2年後と見ている観光業者が過半数を超える、ということだが一応、来年には延期となった「東京オリンピック」が開催されることになっている。
現実問題として、開催できる・できないではなく、あくまでも「予定」として開催されることになっている。
それを考えると、観光事業者の方々も「東京オリンピック需要」への期待も僅かでもあるのかもしれない。
需要を掘り起こす切っ掛けとしての、「東京オリンピック」という位置づけも、考えられる。
もしかしたら、観光業者としても1~2年の需要回復は「観光業におけるV字回復」のような、ニュアンスがあるかもしれない。

今回の「コロナ禍」によって、改めて知ったことは「生産拠点の海外移転」という点だろう。
経済のグローバル化によって、日本企業は日本国内から海外へと生産拠点を移していった。
ところが、今回の「コロナ禍」によって、海外から材料や部品、製品が届かないという状況に陥ってしまった。
顕著な例が「マスク」ということになるだろう。
何気なく「花粉症対策」として使っていた「サージカルマスク」が、中国からの輸入に頼っていた、ということを私をはじめ初めて知った、という方も少なくなかったのでは?

そこから始まった「マスク狂騒」。
原材料となる不織布も中国からの輸入に頼っていた為に、国内で生産したくてもできない。
と同時に原材料の高騰により、1箱500円程度だったマスクが2,000円、3,000円と跳ね上がった。
今は値崩れを起こしているようだが、値崩れを起こしている「マスク」を買いたいという人は少ないようだ。
理由は「製品としての品質」への疑問だ。
同時に起こってきたのが「国内産布マスク」だ。
不織布が手に入らないなら、国内でつくられた布マスクのほうが、安心できる、という生活者が急激に増えたのだ。
そのため、全国各地の縫製業者さんだけではなく異業種とも思える企業も、次々と参入し人気となっている。

一連の「生活者の気持ち」を考えた時、経済のグローバル化で海外に生産拠点を移すというリスクを、これからの企業は考える必要がある、ということになる。
これは「マスク」に限ったことではなく、経済のグローバル化が進めば進むほど、国内で生産する力を持ち続ける必要がある、ということだと思う。
それらの生産基盤があればこそ、国内の景気回復も早くなるのでは?と、考えるのだ。



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