僕はびわ湖のカイツブリ

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“男のためのガーデニング”改め

湖北のアールブリュット2021~十里街道生活工芸館テオリア~

2021-10-22 19:12:12 | アート・ライブ・読書
 滋賀県では戦後まもなくの時代から知的障がいを持った子供たちの教育の一環として、近江学園で粘土による造形が始まったといい、アールブリュット作家の作品展が県内各地で開催されています。
「アールブリュット」は“専門的な美術教育を受けていない人が、湧き上がる衝動に従って自分のために制作するアート”と定義づけられており、アートの一つの分野として確立されています。

県内では近江八幡市の「ボーダレス・アートミュージアムNO-MA」で年間を通じて企画展が開催されており、滋賀県立近代美術館を始めとする県内の施設とのコラボ展の開催も数多い。
長浜市では2011年より「湖北のアールブリュット展」が毎年開催されており、ヤンマーミュージアム・曳山博物館・十里街道生活工芸館テオリアなど会場を変えながらも企画展の開催が続けられています。



昨年に引き続き会場となった「十里街道生活工芸館テオリア」は、無礙智山 大通寺の境内を通って東門から出てすぐのところにあるカフェ・ギャラリーで「湖北のアールブリュット展」の会場は2階に設けられている。
作品は湖北在住の作家作品が絵画25作品・陶芸102作品に加えて、近江学園の陶芸作品が並び、その作品群は個性に溢れて独特の作品が多い。



展示作品のいくつかを紹介すると...。
ぼんやりと淡い背景に力強い線で描かれている作品は、高橋由洋さんの「可燃ゴミ収集」。
家ではお母さんのゴミ出しのお手伝いをされているそうですが、混沌とした作品の背景には人物のような姿が読み取れますね。



匿名の方の「無題」にも人物の顔のようなものが読み取れます。
描かれる対象には作者のもっとも身近な人が映し出されているように感じる作品です。



いくつかの鮮やかな絵の具で書き殴ったような作品は、清水希さんの「無題」。
キャプションには“全身で気持を表現されるため、なかなか腕の動きをコントロールすることが難しい希さんですが、キャンパスに向かう姿からは「描きたい」という情熱が伝わってきます。”とあります。



湖北のアールブリュット展で毎回楽しみにしているのは、吉居裕介さんのカッパシリーズです。
今回もかっぱの集団が楽しい世界を演じてくれていますよ。


プレゼントかっぱ


まつたけかっぱ


かまくらかっぱ

近江学園からの出展作品は、先駆者としての歴史もあって毎回力作が多い。
縦長の大きな壺の作品からは、森の樹にツタが巻き付いていて、猿たちが自然の中で楽しんでいるような作品。
イギリスの童話「ジャックと豆の木」のような冒険譚を思い出すようなワクワク感もありますね。



次はオブジェの下部が突起物で作られた人?カミ?の上にせり出した舞台や頂上部に生き物たちが暮らしているような作品。
創造された空中都市のような世界には、幻想的な古代都市のような印象や楽しい夢の楽園のような印象を受けます。



線路と電車の作品では、重力を無視したかのように垂直な線路を登る電車が造られています。
全ての電車が終点に到着しているように見えますが、この先に線路が延長されていくのかもしれませんね。



「湖北のアールブリュット展」は、2年前までは「アート・イン・ナガハマ(AIN)」と同時開催でしたが、コロナ渦によりAINは2年連続で中止になっています。
来年はコロナ渦が終息して、同時開催にこぎつけて欲しいと思います。

帰り道に「文泉堂」という江戸時代から続く商家(両替商)から後に本屋さんとなったお店へ立ち寄ってみます。
滋賀県や湖北に関係する書物が豊富に置かれている本屋さんなんですが、特色のある町の本屋さんがなくなりつつある中では貴重な本屋さんです。



店内で白洲正子さんのコーナーを見ていた時に面白そうな本を発見して購入しました。
「白洲正子と歩く琵琶湖」の《江北編》と《江南編》という本で、安土城考古博物館副館長や滋賀県保護協会普及専門員などを歴任された大沼芳幸という方の本です。
白洲正子さんが訪れて著書に書かれた滋賀県のカミや仏を、解説文を添えて写真満載の本となっていて、白洲正子さんの観た世界を一望に収められている本です。



まだ訪れたことのない場所も多数紹介されている本ですが、滋賀県の中だけでも行きたい場所はまだたくさんあるのです。



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