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「A・P・T(アトリエ・プレイトゥゲザー)」は発達障害を持つ青年作家たちの共同作業場として2013年にオープンし、日本での開催は今回が初めてとなるようです。
A・P・T代表の朱サンヒさんは、1956年静岡県に生まれた韓国在住の在日韓国人2世で、高校卒業後にソウルの梨花女子大学校で陶芸を学び、A・P・Tで美術指導や幅広い支援活動に取り組まれている方だそうです。
日本で開催しようと思ったのは、日本には支援の多様な土壌があり、「彼らの作品を日本に持って行けば分かってもらえるんじゃないかという思いが強かった」との思いから今回の美術展の開催となったようです。
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入口正面に展示されていたのはキム・ソンテ(1995年生まれ)さん作の「猫」。
現在はSHEHAN大学デザイン科に籍を置き卒業製作に取り組まれておられ、その作品はA・P・Tに来て始めた習字がきっかけになり水墨画作品へと発展してきているようです。
そのかたわら廃棄物やゴミなどを集めて水墨画に変化を加え、独特な画風を生み出されているようです。
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作品に作者・題名の明記がなく推測の部分があって誤りがあるかと思いますが、パク・テヒョン(1993年生まれ)さんの作品の墨で描いた「カモメ(Seagull)」の絵はインパクトがあります。
絵の右下には落款が押されているあたりに水墨画を意識した部分が出ていますが、この方はポップアート作家・紙人形作家として韓国内外で活躍されている方だそうです。
また、ライブ・テーピングの実演を通じて発達障害者に対する認識改善に努力されている方でもあるようです。
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鮮やかな色彩で動物を描いたポップアート作品は上と同じくパク・テヒョンさん作の「Indonesian Park」。
色彩が綺麗で立体的に造られた作品からは何とも楽しげな動物たちが描かれている面白い作品となっています。
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次の2枚はランドスケープを描いた作品ですが、左は水墨画・右はコーラージュ作品となっています。
キム・ソンテさんの作品と思われますが、どの作家も多様な作品を造られておられるので、別の作家の作品のように見えるものがあります。
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面白いのは右の作品で、この作品は近くで見るとスターバックスなどのレシートや袋を貼り付けた上に絵が描かれています。
デザイン科の学生らしい発想の絵ですが、離れて見れば風景画に仕上がっているのが面白いですね。
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「LADY」というコラージュ作品ではポスターから切り取った女性の顔の上に森が広がっています。
今回の展示会を通じての印象からは“正規の美術教育を受けず”というアールブリュットの定義より、美術教育を受けた方の作品との印象を受けます。
語弊があるかもしれませんが、絵を学ぶ才能のある方に障がいがあり、その方たちを支援しているということなのかもしれません。
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キム・ジェヒョン(1998年生まれ)さんは発達障害が全般的に表れ、指の筋肉障害があったため、機能回復訓練としてシールを貼ったり剥がしたりする訓練を受けられていたそうです。
訓練を受けるうちに創作活動へと発展していったようです。
作品は「Flower of paradise」を題されてナンバーのシールが妖しい花のように造られていました。
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1Fには他にもカン・ケビン(1989年アメリカ生まれ)さん、チュー・ヘリミ(2002年生まれ)、リ・チャンキュ(1993年生まれ)の作品が全ての壁に展示されており、床面にはパク・テヒョンさん作の人形が置かれていました。
2Fへの階段にもパク・テヒョンさんのロボット人形と一緒に朱サンヒさんの「Samsara」が掛けられていました。
絵にタイトルになっているサンサーラはそのまま読むと“輪廻”を意味する言葉ですね。
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2Fにも10枚近い絵とロボット人形が展示されていますが、一際目を引くのは建物の玄関方向の前にある「信・忠・悌・孝」のBig wordsでしょうか。
儒教の八種の徳のうちの4文字のことだと思うのですが、かつて儒教国家だった韓国らしい取り上げ方ともいえるのかもしれません。
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NO-MA美術館の魅力の一つに蔵の中の展示がありますが、今回も蔵での展示がありました。
古い商家の蔵ですからそれだけでも雰囲気がありますが、蔵の中に展示されている13作品によって独特の空間となっています。
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「コギリの7人」は企画・主催がアトリエ プレイトゥゲザーですので、通常のNO-MA美術館の企画展とは少し雰囲気は違うとはいえ、ボーダレスアート40点以上の展示には興味深いものがありました。
入定無料にも関わらず、ポストカードやクリアファイルの配布があって、企画側の日本初開催にかける意気込みが感じられ、今後の日本各地での開催が期待されるところです。
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2Fの和室にはA・P・Tの紹介ビデオが繰り返し流されており、共同作業場の様子や彼らの母親のインタビューなどが紹介されていました。
そこにはアーティスト然とした雰囲気は微塵もなく、ただ作品造りに没頭する作家たちと熱心に指導される朱サンヒさんの姿が映し出されています。
朱さんの言葉を借りると日本での開催に際して「これが最初で最後ではなくスタートなんだって思いたい」「韓国でも障害のある人たちが頑張っているというのを皆さんと分かち合いたい」と語られています。(在日本韓民国民団_記事より)
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