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平安京が遷都されると、坂本の地が都の表鬼門(丑と寅の間の方角)にあたることから、都の魔除・災難除を祈る社として崇敬されるようになったといいます。
伝教大師・最澄が比叡山延暦寺を開いてからは、比叡山と天台宗の守護神として崇敬されるようになり、「山王権現」と呼ばれる神仏習合の神社として繁栄したとされます。
しかし、明治の神仏分離令が発令されると、日吉大社では激しい廃仏毀釈運動が起こり、祀られていた仏像や経典、仏具などに火を放つなどにおよび、ここ坂本で始まった廃仏毀釈が全国で行われるようになったという。
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日吉大社には「山王七社」と呼ばれる社があり、本宮となる「西本宮」・「東本宮」と摂社の「宇佐宮」「白山姫神社」「樹下神社」と八王子山山頂にある「牛尾神社」と「三宮神社」を七社として数えます。
「牛尾神社」と「三宮神社」は標高378mの「八王子山(牛尾山)」の山頂付近にあって日吉大社の「三宮宮」とされ、巨大な磐座「金大巖」をお祀りする日吉大社の神体山となります。
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境内から八王子山を眺めると八王子山山頂近くに社が見え、「三宮宮」まで山登りを兼ねて登ってみることにします。
見た感じでは「太郎坊宮(阿賀神社)のある赤神山より低く見えますが、実際は赤神山よりも若干標高が高い山です。
ズームで確認すると「懸造」の建物が2社あるのが確認できます。
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日吉大社の広大な境内へは山王鳥居から入りますが、この神社の建築物はほぼ全てが国宝と重要文化財と言っても差し支えがないくらい歴史のある名建築が揃います。
鳥居の上に三角形の破風が乗った形をしている山王鳥居は、仏教の胎臓界・金剛界と神道の合一を表しているとされ、山王信仰の象徴となっています。
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山頂の「三宮宮」「牛尾宮」は、東の「東本宮」と西の「西本宮」の中間辺りにある石段から登っていくことになり、石段の横には「三宮宮遙拝所」と「牛尾宮遙拝所」が建てられています。
体力や脚力などの事情により山頂まで行けない人はここから遙拝されるのでしょう。
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しばらく続く石段を登り終えると、九十九折の砂利道が続くが、結構勾配があってペースが落ち着いてくるまで息切れが激しい。
参拝を済ませて降りてこられる方とすれ違いますが、かなり年配の方でも呼吸が乱れておらず、自分の体力の衰えを痛感する。
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空が開けてきて社が近いことが分かるようになった頃、大きな巨岩と山上へと続く最後の石段が見えてきます。
広い道を登ってきたので山登りした感覚はあまり感じなかったものの、うっすらと額に汗をかいて気持ちよく登れました。
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最後の曲がり角を曲がると、石段の上に懸造の社が見えてくる。
社は傾斜があり、さほど広くはない場所を目いっぱい使って建っており、安土桃山時代の建築技術の巧みさに驚くような社殿です。
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「三宮宮」は右に「牛尾宮」、左に「三宮」が建てられており、2つの社の中央奥に御神体の磐座「金大巌」が威風堂々とした姿で祀られていました。
この「金大巌」に降臨した大山咋神が宿ったとして、日吉神社の始まりとされる日吉大社の奥宮です。
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「金大巌」の正面は、五角形のような形の平な姿をして琵琶湖を見降ろしています。
10mほどあるという大きさに圧倒されますが、山への信仰や巨岩への信仰や畏怖を感じる磐座です。
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「牛尾宮」は、「大山咋神荒魂」を御祭神とし、大山咋神は山頂の境界となる杭を神格化した神ともいわれる地主神とされます。
平安京や比叡山延暦寺の開山の遥か昔より、この地を護ってきた山神といえるのでしょう。
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「三宮」は、御祭神に「鴨玉依姫神荒魂」をお祀りしています。
奥宮の「三宮」には「鴨玉依姫神荒魂」、「牛尾宮」には「大山咋神荒魂」と共に「荒魂」をお祀りしており、里宮の「東本宮」には「大山咋神」、「樹下宮」には「鴨玉依姫神」と和魂をお祀りする。
神道では神霊は2つの側面を持つ霊魂から構成されているといい、「荒魂」は荒々しく猛々しい面を表し、「和魂」は柔和・仁慈の徳を表すとされます。
奥宮では人に禍を引き起こす畏れのある「荒魂」をお祀りしており、「荒魂」は里宮に降りて「和魂」となるということかとも思われますが、神の持つ二面性が伺い知れます。
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「三宮宮」からは琵琶湖が一望できますが、朝は残念ながら逆光がきつくて写真になりませんが、琵琶湖の向こう側には先週登った三上山(近江富士)の姿が見えます。
三上山(近江富士)は、“富士”と名が付くに恥じない稜線の美しい山で、湖南地方のあちこちから眺められる山です。
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さて、日吉大社は歴史ある神社とあって御神木などの巨樹が境内の各所に見られます。
特に2本気になる巨樹がありましたので取り上げますと、まずは「走井杉」という巨樹で手前のスギは幹周5m越えの大木です。
走井杉の間にある祠は「走井祓殿社」といい、御祭神に瀬織津姫・速秋津姫・気吹戸姫・速佐須良姫の4柱を祀ります。
すぐ横には秀吉が寄進したという清めの井「走井」があり、その水は毎朝のお供えやお浄めに使われているといいます。
横に伸びた枝は、走井橋の上に寝そべるように伸びているかなり個性的な形のスギになっています。
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もう一本の巨樹は、日吉大社の境内を出てすぐの場所にある「紗那王大杉」というた源義経の稚児名を名の由来とする巨樹です。
幹周5.5mで荒々しくも力強い姿をしており、「走井杉」となまた違った迫力を感じます。
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最後に日吉大社の鳥居の後方に見える八王子山と奥宮に頭を下げて帰ります。
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